1年前、選手会長の嶋基宏らは被災した地元の姿に言葉を失い、何ができるか語り合った「野球の底力を」楽天感動スピーチ誕生の舞台裏

フライデー プロフィール
(左)4月7日の深夜に山形空港から仙台に到着し、バスから降りてきた松井稼頭央 (右)山﨑は当時、「究極の選択として野球はいらないと感じた」とまでコメントした
(左)子供たちと記念撮影する嶋。慈善試合だけでなく地元の開幕戦でもスピーチした (右)女川町の避難所を訪問。被災者のほうから「がんばって!」という声が掛けられる

〈見せましょう、野球の底力を! 見せましょう、野球選手の底力を! 見せましょう、野球ファンの底力を!〉

 嶋は本誌の取材('11年5月13日、20日号)で、当時をこう述懐している。

「前日にNPB(日本プロ野球機構)から、スピーチ案をもらっていました。でも、それでは被災地へ球団の選手会長としての思いをぶつけられない。素直な気持ちを自分の言葉で話そうと、岩越さんと二人で文言を考えたんです」

 文案を考えた岩越氏が明かす。

「ホテルの食堂で夕飯を食べていた嶋に『1時間くれ』と言って、スピーチの叩き台を作りました。震災直後から、どんな言葉や映像をどんな形で発信すれば被災地のためになるのか、パソコンにメモしていたんです。その中で、どん底からはい上がる意思を強く表せていると思ったのが『底力』という言葉。嶋の朴訥な性格なら、この言葉を誠実に話し、被災地を励ますことができると考えました」

 嶋と岩越氏は文案に修正を加えつつ、スピーチの練習をした。「ここでファンの反応があるだろうから間を置いて」などと話し合いながら、明け方まで・・・。

 その後、楽天の選手がようやく仙台入りできたのは、震災から約1ヵ月経った4月7日のことだ。バスの中から見える津波に襲われた無惨な地元の姿に、選手たちは言葉を失い、涙を流したという。

「昨季、選手たちは苦しみもがきました。ただそうした姿が、被災地の人々の共感を得られたのかもしれません」(岩越氏)

 楽天は震災後に培った「底力」で、今季も被災地に勇気を届け続ける。

「フライデー」2012年3月30日号より

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