ダメな政権は春になると動揺を始める。野田政権も例外ではない。どじょう首相の意思に関係なく、審判の日は近づいている。民主党の〝3年天下〟は終わりを告げ、次の主役は西からやってくる。
桃の節句を2日過ぎた3月5日、永田町にある首相官邸では、飾られたまま放置されていた雛人形を、慌てて撤去するスタッフの姿が見られた。
3月3日を過ぎても雛人形を飾ったままだと、娘の婚期が遅れるという言い伝えがある。前日の4日が日曜でスタッフが出勤していなかったとはいえ、野田佳彦首相は、この2日遅れの雛祭りの片付けを聞いて、ぶすっと不機嫌になった。
「首相にとって、いま大事なのは自民党・谷垣禎一総裁との〝縁談〟です。雛人形の仕舞い忘れで婚期が遅れるとの伝承が、連立工作の難航を連想させたのです」(官邸スタッフ)
野田政権がいよいよ行き詰まりを見せ始めた。昨年9月、「泥の中のどじょう」になってでも政治実績を積み上げる・・・・・・と宣言していた野田首相は、この6ヵ月間、ずっと泥に沈んだままだった。
前任者たちを反面教師に、人前に出ず余計な発言をしなければ、支持率は維持できると思っていたのだろう。だが国民からは、「消費税を上げる!」と宣言して、そのための地ならしをコソコソしていただけに見える。
結果的に現在の支持率は30%ほど。これでは歴代内閣の末期とほとんど変わらない。消費税アップどころか、鳩山、菅以上に何もせずに終わる総理・・・・・・。焦ったどじょう首相がすがり付いたのが、自民党との「野合」だった。
3月2日、東京・銀座の日本料理店で、側近の手塚仁雄首相補佐官、蓮舫前行政刷新相と会食した首相は、こう「宣言」していた。
「消費税の増税に、国民は理解を示してくれると思う。ただ、民主党がこのまま支持されるかといえば、それはやはり難しい」
「それでも、最終的には('05年の)郵政解散のように、消費税解散をして民意を問うしかないのだ」
この日の首相は、最近では珍しく、一升の日本酒を飲み干したという。
野田首相が「解散・総選挙」に舵を切った---。
そう言うと威勢がいいが、それ以外にもはや、政権の行き詰まりを打開する道を失ったということでもある。そんな中で行われたのが、首相と谷垣氏との「極秘会談」だった。
「2月25日に行われた野田・谷垣会談を裏でセッティングしたのは、財務省だと見られています。これまで勝栄二郎事務次官らは、『消費税の増税ができないと日本経済は行き詰まる』と、与野党の幹部に繰り返し働きかけをしてきました。そのため、会談には勝次官が同席したとのウワサまで流れましたが、実際には野田・谷垣両トップのサシでの会談だったようです」(全国紙政治部デスク)
二人は党内での立場が似通っている。ともに今年9月に任期切れを迎えるが、代表選・総裁選での苦戦が予想されている。求心力を取り戻すためには思い切った行動が必要だ。それにうってつけなのが、示し合わせての「話し合い解散」という出来レースだ。