週現スペシャル 受験ガイドには載っていません 名門大学の正体
(II)早稲田と慶応 大人はこっちを選ぶ

週刊現代 プロフィール

 慶応出身者が3人集まればそこに「三田会」が生まれると言われ、たしかにどの企業にも三田会がある。そして、早大OBは母校の悪口を言い、慶応OBは母校愛を口にする。

 慶応大卒のコラムニスト泉麻人氏('79年商学部卒)はこう証言する。

「'08年に日吉キャンパスで創立150周年記念式典があり、加山雄三さんが歌を歌ったりして盛況でした。こういう時、先輩の近田春夫さんたちが楽屋で気さくに話しかけてくれる。畑が違っても同じ慶応ということでつながれるんです。僕のようにサラリーマンでない人間ですら、そうやって先輩が『おー、慶応か』とかわいがってくれて、慶応で良かったと思うことがありました」

 これほどの校風の違いがあるからこそ、バンカラ好きの学生は早稲田へ、お洒落好きでスマートな学生は慶応へ、という棲み分けがかつてはできていたのだ。

 慶応の特徴は、大企業の創業家御曹司が通う点にもある。

 先ほど挙げた豊田社長、佐治社長もそうだし、鹿島、大林組、キッコーマン、大正製薬、永谷園、コクヨ、セイコーなど、数多くの創業家御曹司が、何代も続けて慶応で学んでいる。前出の國貞氏はこう分析する。

「創業者は東大、京大を出ていても、息子にその学力がある保証はないし、別に無理をして国立大に行く必要もない。そうすると二代目の行き先は、幼稚舎から安心して預けられる慶応に自然と落ち着いていくわけです。そして三代目、四代目と続いていく。これらの企業には当然慶応閥があり、慶大卒が就職に有利という説もあてはまるかもしれません」

 一方で、高校生からの人気の差を憂える早稲田が、どんどん慶応の真似をする現状がある。慶応幼稚舎に対抗して小学校をつくり、大学も女子学生がどんどん増え、グローバル化と称して英語教育を強化した。

 世間の安定志向と早稲田の変節が負のスパイラルとなり、高校生からの人気で早稲田が完全に慶応の後塵を拝している構図が浮かんでくる。だが、就職に話を戻すと、いまだに「早稲田のほうが使える」と思っている採用担当者は多い。

 前出の阪東氏も、就職ゼミを通してそのことを感じるという。

「圧迫面接とか、自分が追い込まれるような状況になると慶応は弱い。あと、就職活動の際に必要になってくる『おじさんをだます』能力も低い。良い子か悪い子か、と問われれば、もちろん慶応の学生は良い子なのだが、過保護に育っているだけにもろい。早稲田のようなたくましさがない」

 だからこそ、出世競争には意外と弱く、底辺から這い上がる泥臭い社長がなかなか生まれない。

「先ほどのオーナー企業を除くと、一流企業で慶応卒は意外と社長になれない。銀行も商社もそうだし、かなりの人数を送り込む日立でも、社長はずっと国立大出身者です。慶応卒のサラリーマンは三田会の同質性から抜けきれず、大人になってから自由度の高い早大卒に圧倒される傾向があります」(前出の國貞氏)