週現スペシャル 受験ガイドには載っていません 名門大学の正体
(II)早稲田と慶応 大人はこっちを選ぶ

週刊現代 プロフィール

 トヨタ自動車の豊田章男社長、サントリーの佐治信忠社長など名だたる財界人が慶応OBで、近年では断トツの人気を誇った小泉純一郎元首相の母校であることも、世の母親からのイメージアップに一役買っていることは間違いない。

 だが、ここまで挙げた「慶応圧勝」の理由はあくまで18歳の高校生、そしてその母親が考えていることにすぎない。大人の男の世界では、また違った判断の基準があるはずだ。

 まず「慶応のほうが就職に強い」という俗説をあっさり否定するのは、大学生向け就職対策ゼミを主宰する阪東恭一氏だ。

「50年後はわかりませんが少なくとも現時点で、採用を決定する企業側の中堅および幹部クラスには、早大OBのほうが慶応OBより圧倒的に多い。

 単純な話で、毎年1万人の卒業生を出す早大と5000人しかいない慶応とのスケールの差です。企業にいるOBの数では慶応は日大にも負けるのに、慶応生やその親にはその認識が欠けています」

 そして、「慶応進学は母親が決めている」という先ほどの説に、阪東氏も賛同する。

「私のゼミに通うかどうかを決めるのに、親が出てきて『わかりました、通わせることにします』と言った家庭がこれまで3軒ありましたが、すべて慶応生です。早稲田はもちろん、他大にはそんな学生は一人もいません。大学生の就職ゼミに親が出てくるなんて、過干渉にもほどがある」

 早大卒のジャーナリスト斎藤貴男氏('81年商学部卒)は、そうした「過保護」と対極にあった早稲田の魅力をこう語る。

「最近の早稲田は知りませんが、僕らの頃は学生をほったらかしにする大学でした。本当はいろいろ役に立つ仕組みがあったのかもしれないが、誰も何も教えてくれなかった。一度、講義要項(シラバス)を紛失したことがありました。これを見て時間割を組むのだから、ないと困る。仕方なく教務課に取りに行くと、きっちりカネを取られた。『なんなんだ』と当時は思いましたが、商学部だけにたぶん商売を教えてくれたんだと思います」

就職以降は早稲田が強い

 組織の慶応、一匹狼の早稲田。その傾向はOBに根強く残っている。

「かつて早稲田は『履修者が全員出席すると教室のイスが足りなくなる』と言われ、早大生は遊びとアルバイトに精を出して社会勉強していればよかった。学生一流、校舎二流、教授三流とも言われ、何事も自分で考えて行動する学生に向いている大学でした。

 一方の慶応はゼミがしっかりしていて、就職の面倒見が良い教授も揃っていた。加藤寛さんのような政治力のある人物もいる。もともとお坊ちゃんが多い上に、大学が手取り足取り学生に親切にするわけです。

 最近の学生は大学にきちんと通うし、大学で習ったことを社会で活かそうと考えている。そういう人間にとっては、慶応のほうが魅力的に映るのも当たり前かもしれませんね」(大学受験にも詳しい精神科医の和田秀樹氏)