[プロ野球]
佐野慈紀「キャンプで見た“和田タイガース”の現状」

スポーツコミュニケーションズ

榎田よ、早めの準備を!

 ルーキーイヤーの昨季、62試合に登板し、チームに大きく貢献した榎田ですが、心配なのは疲労が残っていないかどうかです。しかし、昨季と比べると、ゆっくりと調整しているように見受けられました。きちんと自分で考えてやっているのでしょう。こうしたところも、彼が活躍できる所以なのではないかと思います。しかし、メンタル面での疲労を考えると、2年目の今シーズン、どういう気持ちでマウンドに立つかということも気になります。

 昨シーズンの前半戦、怖さを知ることなく投げていた榎田には勢いがありました。しかし、中盤以降、打ち崩される場面もあり、前半戦のように腕を思いっきり振って投げられていないことも少なくなかったのです。結果的には最後までそれなりに頑張ってはいましたが、怖さを知ったことで、果たして今シーズンはどうなのか。不安をもったままマウンドに上がり、慎重になり過ぎて、彼の良ささえも消えてしまっては何にもなりません。いわゆる“2年目のジンクス”はこうした不安から起こるのです。

 私自身、同じような経験をしました。1年目、まずまずの成績を残した私は、2年目のシーズン前、「今シーズンも自分のボールは通用するのだろうか」という不安がありました。そこでオープン戦では内容うんぬんではなく、“準備”することに注力したのです。例えば、配球を無視して、あえて真っ直ぐばかり投げてみたり、自分の勝負球であったアウトローへのスライダーを多投してみたり……。それも、ファウルなのかゴロなのか、空振りなのかを想定しながら投げるのです。

 その結果、空振りを狙って投げた球がヒットにされれば、「もっと精度を高めなければいけない」とか「低めに投げなければ打たれてしまう」などと、反省材料が出てきます。それを開幕までに修正していくのです。つまり、早めの時期にいろいろと試し、準備していくことで、落ち着いてペナントレースに入ることができるわけです。榎田は1年目にあれだけの成績を収めたのですから、チームからの信頼は十分に得られているはずです。そうであれば、結果を出さなければいけないとがむしゃらになる必要はありません。今からいろいろと試し、準備をして、自信をもって開幕を迎えてもらいたいと思います。