大地震の被災者は認知機能も害される!

 ニュージーランド・クライストチャーチ市にあるカンタベリー大学のWilliam S. Helton博士らが、Human Factors 2012年1月25日オンライン版に発表した研究で、大地震は被災者の認知機能を害する可能性が高いことが明らかになりました。

 これまでの研究で、2001年9月11日の世界貿易センタービルのテロによる崩壊など、大規模な人災の後に、交通事故の発生率が高まることが明らかになっており、こうした交通事故の増加は、被害が与えたストレスなどによって認知機能が害されることによって生じた可能性が高いことが示唆されていました。

 博士らは同様の認知機能の低下が、大規模な自然災害によっても生じているのではないかと考え、2010年9月にニュージーランド・クライストチャーチ付近で発生したマグニチュード7.1のカンタベリー地震(この地震では死者は発生しませんでしたが大きな被害があり、さらに余震が続き2011年2月のクライストチャーチで発生した地震で日本人を含む死者185人など大きな被害が出ました)の発生直前に、認知機能検査を受けていた被験者を対象に、地震後にも同じ検査を行いました。

 被験者は男性7人女性9人の合計16人で、彼らは画面を見て応答する認知機能検査を受け、反応の正確さや反応速度などが測定されました。通常同様の検査を実施した場合、2度目の成績が向上するのにもかかわらず、間に地震を挟んだ今回の実験では、明らかに成績が低下していました。

 博士らはテロなどの事件だけでなく、自然災害も被災者の認知機能にマイナスの影響を与える可能性が高く、被害を受けた地域社会は、交通事故など認知機能の低下による事故の発生率の増加などにも、注意を振り向け対策する必要があるとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Human Factors 2012年1月25日オンライン版