「僕が理想としているキャプテン像は、上を向き続ける人、前を向き続ける人です。試合で負けていても、周囲に『下を向くな!』『行くぞ!』と檄を飛ばしていけるのか、それが課題なんです」
2月1日、プロ野球12球団が一斉にキャンプインした。最大の注目は、3年ぶりの王座奪回を目指して村田修一内野手(31)や杉内俊哉投手(31)、D・J・ホールトン投手(32)などの大型補強を敢行した、昨季セ・リーグ3位の巨人だろう。この注目度満点のチームをまとめ上げるのが、不動の正捕手にして、 '07 年から主将を務めている阿部慎之助(32)だ。
すでに原辰徳監督(53)は「3番は長野(久義、27)、4番は阿部、5番は村田」と今季のクリーンナップを明言している。主将、捕手に加えて4番の重責まで担う---。こんな選手は12球団を見渡しても阿部だけである。そんなキーマンの彼に話を聞いたのは、キャンプインを目前に控えた1月下旬のジャイアンツ球場(神奈川県川崎市)だった。まずは、巨人軍第18代主将として、自身が描くキャプテン像について語ってもらった。
「キャプテンとは、グラウンドにおける現場監督みたいなものだと思っていますし、原監督もそういう部分は僕に任せてくれています。可能であれば、監督に何も考えさせないで試合に勝つのが究極の理想だとも思っています」
原監督は阿部について「背負わせるものが多いほど、いい結果を生む」と語っている。事実、阿部はリトルリーグ、中学、高校、大学、そしてプロと、所属したチームすべてでキャプテンを務めてきた。巨人軍主将という重責すら、この男には望むところなのだ。