ベビーフェイスは敵に信用されやすい!

 敵対する相手と、どうしても妥協点を見出して落着したい、そのような難しい交渉する場合、いかにして相手の信頼を得るかが、交渉を任された人間にとって、大きな課題となることは経験的にも、また歴史的事実からも、良く知られたことだと思われますが、イスラエル・イェルサレム・ヘブライ大学のIfat Maoz博士が、2012年1月4日にヘブライ大学で開催された国際会議で発表した研究で、敵対する相手が、ベビーフェイスだと信用されやすくなることが明らかになりました。

 ご承知のようにイスラエルとパレスチナ、およびアラブ世界の間には長期間の政治的緊張関係が、ある時期はやや緩和し、また悪化するという際どい状況で継続しています。過度の緊張状態から全面的な戦争へと向かわないよう、お互いが敵対しつつも交渉し、妥協点を見出すためには、敵対する政治家同士の信頼関係と、相手の国民や民族に対して相手のトップが信頼できる相手であることを、認めさせることができるかどうかが、大きな鍵となります。

 そうした課題がどうすれば可能になるのかを探る目的で、博士は実験を行いました。

 実験はイスラエル人の被験者に対して、架空のパレスチナ人政治指導者の顔写真と彼のイスラエルに対する和平提案のニュース記事を見せて、和平提案の内容と、そのパレスチナ人指導者の信頼度を評価させるというもので、この架空パレスチナ人指導者の顔写真の表情を加工し、変化させた場合に、信頼度がどのように变化するのかを調査分析するというものでした。

 顔の表情は、より成熟した男性の表情を強調したものと、ベビーフェイス的なものへと変化させるために、オリジナルから目と口が15%小さめと(より成熟顔)15%大きめ(ベビーフェイス)に加工され、被験者に提示されました。

 データを分析した結果、架空パレスチナ人指導者が、ベビーフェイスになった場合のほうが信頼度が高く、提案内容に対する支持が高くなっていました。

 博士によると一般的に、人はベビーフェイスを正直、寛大、受容性などと結びつけやすく、いったん敵対する相手を信頼すると、人は妥協や和解に向かい易くなるので、表情の効果は大きいと考えなければならないとし、テレビやインターネットの普及で、政治指導者の顔写真は、これまで以上に人々の目に入りやすくなっていることを考えると、政治指導者の顔が敵対する相手にどのように見えるのかは重要な要素だとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
ヘブライ大学ニュースリリース2012.1.29