風邪に抗生物質。高血圧の人は塩分を控える──それ、違います!

間違いだらけの「家庭の医学」
週刊現代 プロフィール

「鉄欠乏症による貧血は、そもそも食品からの鉄分吸収がしにくい体質のために起こることが多く、このケースでは、レバーなどを食べても鉄分は吸収しづらい。その場合は薬で補うべきなのです」(米山医師)

一時、タマネギの血液サラサラ効果がよくいわれたが、これも根拠はなく、そもそも血液を「サラサラ」とか「ドロドロ」と表現すること自体がナンセンス。

「血液の粘性が高くなれば動脈硬化などのリスクが高まりますが、粘性が低ければいいわけではない。貧血や低たんぱく血症の場合、血液に粘性がなくなりサラサラしますが、これは病的な状態です」(米山医師)

健康的な血液はサラサラ……というのは、どこかの健康番組がでっちあげたまやかしにすぎないのである。

最近は体温を上げる効果があるとして生姜料理がブームになっているが、「体温を上げれば健康になる」という考え方自体にも疑問があるとか。

体温が高いほうが細胞の代謝が活発になることは事実だが、かつてアメリカのジョンズ・ホプキンス大学で65歳以上の男性を対象に行われた調査では、「低体温が長生きの条件である」と発表されている。

「一つの食品を取り上げて『○○は▲▲に効く』というような疫学調査をするのは、現実的に不可能です。食べる人と食べない人を1万人ずつ集めて長期にわたって比較すれば、科学的に根拠のあるデータが出せるかもしれませんが、技術的にも費用的にも無理。証明することがとても難しいのです」(米山医師)

脳梗塞は冬に起きやすい?

このように、最近になってこれまでの常識が覆されたものは数多い。最後に、その他の事例を簡単に紹介しよう。

・脳梗塞は冬に起きやすい
→ウソ。脱水症状によって血液の粘性が高まる夏に多い。

・脳卒中で倒れた人は決して動かしてはいけない
→ウソ。すぐに救急車で病院へ運ぶこと。

・暗い場所で本を読むと目が悪くなる
→ウソ。明るさは関係なし。ただ、目が疲れやすくなるので注意。

・傷ができたらまず消毒をして絆創膏を貼る
→ウソ。傷口から自然治癒に必要な成分を含む浸出液が出てくるので、消毒はNG。異物を洗い流したら傷口にラップを貼り乾燥しないようにすると治りが早い。

・酒が弱くても、飲んでいると鍛えられて強くなる
→ウソ。人が持っているアルコール分解酵素の量は変わらない。無理して飲み続けると肝障害のリスクが高まるので要注意。

これまでの常識が数多く覆されてきているものの、いまだに完全に浸透せず、間違った医療が行われているケースも多い。これについて米山医師は、「医者が最新の知識をちゃんと仕入れていないことが問題ですが、患者の側の意識も変えていったほうがいいでしょう」と指摘する。

また、平石医師も「さまざまな健康に関する情報があふれているいま、すべてを鵜呑みにしてむやみに試すのではなく、その情報が正しいか、自分に合っているかどうかを見極めることが必要です」と話す。

あなたの頭にこびりついた医学常識を、いま一度総点検してみてはいかがだろうか。

「週刊現代」2012年2月4日号より