風邪に抗生物質。高血圧の人は塩分を控える──それ、違います!

間違いだらけの「家庭の医学」
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この発表について池谷医師は、「そのように結論づけるには追跡調査が必要」と慎重な姿勢だが、「いくら塩分を減らしても血圧の下がらない人がたくさんいるというのは明らかになっています。こういう体質を『食塩感受性が低い』といいますが、このタイプは高血圧患者のおよそ7割を占めています」という。

つまり、食塩を控えても控えなくても、血圧の値に影響がないということだ。

「とはいえ、日本人が塩分を摂りすぎているのは事実です。食塩は、血圧の上昇とは無関係に心臓や血管に悪影響を及ぼすことがわかってきていますし、血圧を下げる薬には、塩分によって効果が低減するものがある。なので、健康のためには食塩を抑えるに越したことはないでしょう」(池谷医師)

痛風でもビールは飲める

高血圧と並ぶ中高年の敵、コレステロールについても、近年さまざまな情報が出回っている。

とくに話題になったのが、「コレステロール値が高いほうが長生きできる」というもの。これは、'10年に日本脂質栄養学会によって発表されたが、日本医師会などが「まったく根拠がない」と反論し、波紋を呼んだ。実際のところはどうなのか。

「コレステロール値が高いほうがいいという発表は科学的根拠が薄く、安易に受け入れるのは危険です。脂質異常症でコレステロールを下げる薬を飲んでいた人が自己判断で服用を止めるケースもあるのですが、医師ときちんと相談して判断してほしい」(池谷医師)

コレステロールといえば、「卵は1日1個まで」ともよくいわれるが、これもマユツバ。卵3個分に相当するコレステロールを2週間毎日摂った場合、悪玉コレステロール値が上昇した人よりも、変化なしか、低下した人のほうがずっと多かったとの実験結果がある。

病気にならない健康の新常識』などの著書がある東京ミッドタウンメディカルセンターの平石貴久医師によると、「卵の黄身には油分を溶かすレシチンがたくさん含まれていて、これがコレステロールを抑制しています。ですから、1日に5個も6個も食べなければ問題ありません」というのだ。

では、食べ物にまつわる新常識を解説していこう。

(1)痛風の人はビールを飲んではいけない
(2)コラーゲンを飲むとお肌がプルプルになる
(3)二日酔いにウコンが効く
(4)ブルーベリーを食べると目がよくなる
(5)玄米は白米より体にいい
(6)牛乳を飲むと骨が丈夫になる
(7)貧血にはレバーやほうれん草を食べたほうがいい

健康に気を使っている人にとっては常識中の常識かもしれないが、ここにも大きな落とし穴がある。

「(1)について、プリン体を多く含むビールは尿酸値を上げるので痛風の人には厳禁とされてきましたが、ビールにこだわる食事療法はそれほど重要ではないとも言われてきています。ビールが好きなら飲めばいいんです。ただし、飲みすぎはNG。1日大瓶1本以内が理想です」(池谷医師)

むしろ問題なのは、焼酎だから大丈夫、と別のアルコールを飲みすぎることだという。

前出の平石医師によると、「アルコールは体内で分解されると乳酸をつくり、この乳酸が尿酸の排出を妨げるので、プリン体が少ないからといって飲みすぎるのは厳禁です」というので、油断は禁物だ。

ウコンは二日酔いに効かない

女性にとって気になるのが(2)。コラーゲンをいくら口から摂取したところで、皮膚のコラーゲン量が増えることはない。コラーゲンはたんぱく質なので、体内でアミノ酸に分解されて吸収される。つまり、肉や魚を食べても同じこと。