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風邪に抗生物質。高血圧の人は塩分を控える──それ、違います!

間違いだらけの「家庭の医学」

コレステロールが体に悪いといわれれば、卵を食べるのを控え、ビールが痛風に悪いといわれれば、ワインに変えた。風邪をひけば、薬をがばがば呑んだ──そんな人たちは、これを読んで認識を改めよう。

抗生物質は風邪に効かない

乾燥した寒さが続くこの季節、帰宅したら、まずうがい薬でうがいを欠かさない人も多かろう。うっかり風邪をひいたら、薬局で風邪薬。それで効かなければ病院へ、というのが定石。だが……。

「まずうがい薬なんて意味がありません」

と池谷医院の池谷敏郎院長が言う。

医学の誤った常識を説いた『最新医学常識99』の著者である池谷医師によれば、うがいにはたしかに風邪予防の効果があり、うがいをすると風邪の発症率は40%低下する。ただし、うがい薬を使っても、水でも、効果は変わらないというのだ。

効き目がないのは、うがい薬ばかりではない。

「風邪薬は風邪には効かないのです」

そう断言するのは米山医院院長の米山公啓医師だ。

「そもそも風邪はウイルス感染によって起きる病気ですが、インフルエンザなどと違って、風邪を治すための抗ウイルス薬は、ほとんど開発されていません。

事実、市販の風邪薬はパッケージに『風邪の諸症状の緩和』と書いて逃げていますが、あくまでも咳や熱などの症状を一時的に軽くするだけで、風邪を治すわけではないんです」

風邪薬が風邪に効かない。困ったことに、これは市販薬だけでなく、病院で処方される薬も同じ。しかも、薬の取り合わせによっては、治りが遅くなってしまうという。池谷医師が説明する。

「最悪なのが、抗生物質と解熱剤の組み合わせです。抗生物質は風邪の原因であるウイルスではなく細菌をやっつける薬ですから、風邪には効きません。そればかりか、安易に抗生物質を飲むと体の中の菌が耐性を獲得してしまい、いざというとき抗生物質が効かなくなってしまううえに、下痢などの副作用も考えられます。

そして風邪による熱は、ウイルスを弱らせるために出ているものです。それなのに解熱剤を飲んだら、せっかく体が治ろうとしているのを止めるのと同じ。わざわざ治りにくくしているようなものなのです」

よっぽどのことがない限り、風邪は薬に頼らないほうがいい。「自然治癒を待つのが一番の近道」(米山医師)だというのだ。

このように風邪ひとつとっても、間違いだらけの医学常識は多い。では、中高年にとって身近な血圧についてはどうだろうか。

(1)血圧は上の値が高くても下の値が低ければ安心だ
(2)低血圧の人は、歳をとっても高血圧にならない
(3)塩分を控えれば血圧は下がる

(1)(2)(3)これらの常識、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。

「じつは血圧に関するこの3つの情報、すべて誤りなのです。

まず(1)について、血圧の上と下の値の差を脈圧といいますが、この脈圧は動脈硬化が進むと大きくなる。つまり、血圧の上と下の差が大きいほど、心筋梗塞などの発症リスクが高くなるわけです。(2)も誤解。高血圧は遺伝をはじめ、加齢、飲酒、喫煙、ストレスなど、さまざまな要因がからんで発症するので、安心できません」

と池谷医師は説明する。

高血圧の人にとってもっとも気になるのが(3)の血圧と食塩の関係ではないだろうか。なんと昨年、「食塩摂取量は控えすぎても心疾患のリスクが高まる」という新たな研究がカナダの研究者らによって発表された。