「子供をダメにする」親の研究〜3000人の聞き取り調査で分かった!

獨協医大・永井伸一名誉教授が明かす
週刊現代 プロフィール

逆に、学歴コンプレックスを持っている親は、子供に期待を寄せすぎてスパルタ教育をしてしまいがちですが、これこそ大きな間違いです。

小さい頃から英語とか、算数とか、偏った学習をゴリゴリやらせてもダメなんです。情操教育で人としての土台をしっかり作る前に一方的に知識をつめ込んだらどうなると思いますか。良い結果が出るはずがありません。

最近、テレビなどでよく成長目覚ましいアジアの国の進学校を特集していますよね。あっちのエリート学生は、のし上がってやろうという異様な競争意識を親や学校から植えつけられて、物心ついた頃から勉強漬けです。だから、勉強はものすごくできるんです。ただ、人間的に変なのがいっぱいいる。

先日、関西の超名門高校にその国のトップクラスの進学校の生徒が国際交流で来たそうなんです。まず最初に自己紹介をしたんですが、日本の生徒の番になると、あちらの国の生徒は一斉にゲーム機を取り出して遊び始めたというのです。それに対して、同伴している先生も全然注意しない。

「勉強さえしていれば、あとはなんでもいい」というスタンスなんです。こんな自己中心的な子たちが大人になって国の中枢で働くことになると思うと、何とも末恐ろしいですね。

獨協でも、留年してしまった学生の中で、真面目な性格のグループと自己中心的な性格のグループとの退学者数を比べてみると、前者は20年で留年130人で、退学者はたったの1人でした。

それに対して、後者は留年91人中、36人が退学しているんです。先生のアドバイスに聞く耳を持たず、結局勉強についていけなくなって退学するしかなくなってしまう。「人の話を聞く」というのも、大切な学習の一つなんですが、最後まで理解してもらえませんでした。

 

大切なのは「母の胸」

これらの個々のデータを体系的に見てみると、成績不振の学生には、親の育て方・接し方に、いくつかの共通した特徴が見られることが分かりました。

最も多かったケースは、干渉が多かったり、逆に過保護にしてしまったり……要するに、親が子供の力を信じていないタイプです。

そういう親の子供は、自分から動かなければいけないという意識に欠け、自主性を失ってしまいます。また、学習方法が安直で、物事を深く考えることができません。知識はあるけれど、感性が貧弱で、興味があることを追求していく力が弱いんです。

それから、放任主義の親。子供の意思を尊重することはもちろん大事なことですが、自由にさせてしまえば子供は当然だらしなく、自己中心的に育ちます。そういった学生は、早起きできなかったり、きちんと食事を取らなかったりと、不規則で怠惰な生活を送っていました。

また、圧迫系の育て方をされた子供は、消極的で、困難にぶち当たるとすぐに逃げる臆病な性格になってしまいます。先ほど挙げたような、常に兄弟姉妹と比較されてきたり、父親が絶対的権威を振りかざす息苦しい家庭の出身者です。

それから、親子で性質が似てしまうケース。神経質な親の子供は、同じように神経質で引っ込み思案になるし、自己中心的な親の子供は、やはり利己主義的で人の気持ちを汲み取れない子供になります。