民間企業に勤める一般国民は公務員に幸せになってもらうために、一生懸命働いてせっせと納税しているのだろうか。自分たちに有利な制度設計をして、それを改めようともしない彼ら。どういう神経なのか。
デフレ不況と欧州危機で多くの企業が業績不振に悩み、サラリーマンの収入はなかなか増えない。民間では会社が儲からなければ分配が少なくなるのは当然だが、それとは真逆の職種がある。
公務員だ。
本誌は'11年12月10日号で、給与だけでなく彼らの年金・退職金がいかに恵まれているか、さらに、諸手当、宿舎などの「役得」を紹介した。実はまだ、他にも公務員がひときわ優遇されている分野がある。
健康保険である。
「実は、公務員の加入する各共済組合の保険料は、民間の協会けんぽよりもずっと低いんです。普通のサラリーマンは健康保険料を給与から天引きされています。実際に病院にかかった時は、この保険料に基づき、本人負担3割以外の医療費が、所属する健康保険組合から支払われる。この仕組みは公務員も同じですが、毎月徴収される保険料率にはかなりの差がある。特に国家公務員の各共済組合が低いんです」(医療ジャーナリスト)
国民皆保険の日本では、病院の窓口で払う医療費(保険適用範囲内)は誰でも同じ。しかし、公務員の加入する各共済は、保険料が安く抑えられているうえ、後述するような各種の"特典"がある。本誌が確認した主な省庁の共済組合の保険料率を列挙しよう。
・総務省、6・58%
・経済産業省、6・72%
・文部科学省、6・69%
・財務省、6・72%
・外務省、7・4%
・国土交通省、7・77%
・厚生労働省、7・2%
などとなっている。これらの共済組合を統括する法人、国家公務員共済組合連合会(以下、KKR)の平均では6・943%になる('09年度)。この保険料を労使で折半して支払うことになるので、月収40万円の国家公務員が支払う保険料は、約1万3900円。
かたや、中小企業サラリーマンの加入する協会けんぽの保険料率は9・5%。同じく月収40万円の人が支払う保険料は、1万9000円。国家公務員とは、月額にして5100円、年額6万1200円もの違いが出てくるのである。
国家公務員だけ保険料率が低いのかというと、そうではない。地方公務員もまた低いのだ。たとえば公立学校共済組合は7・4%、地方職員共済組合は8・7%と、いずれも、協会けんぽより低く、平均すると、7・949%である。中小企業のサラリーマンと比較すると、やはり年に3万7200円ほど保険料が安い。ちなみに、私学教職員等の共済組合では6・52%だ。