日本では現在シビックは販売されていないが、北米では今年4月にフルモデルチェンジして刷新され販売開始。ボディタイプは4ドアセダンと2ドアクーペで、セダンにはガソリンエンジン、ハイブリッド、CNGと3つのパワートレーンが与えられている。
そのシビックが大変なことになっている!
シビックは全長4503×全幅1752×全高1435mmでボディサイズは日本で最後となった先代と大きく変わらない。デザインも旧型を踏襲。
搭載するエンジンは1・8ℓのi-VTEC(140ps/17・6kgm)と2・4ℓ、i-VTEC(201ps/23・5kgm)の2タイプで、パワー、燃費性能とも向上させている。
しかしその新型シビックをアメリカの消費者団体が発行する専門誌『コンシューマー・リポート』が酷評。『コンシューマー・リポート』の行なった消費者向けの独自テストをした結果、新型シビックは12台テストしたうちの11位、下から2番目という結果になり、「おすすめしないクルマ」との烙印を押された。
獲得ポイントは、先代シビックが78点だったのに対し、61点と17点減。シビックは、ここ10年間で常にトップ5に入る評価を受けていて、5回最優秀車に認定されていたこともあるだけに、ホンダサイドにとっても北米での販売を考えると大打撃。
コンシューマー・リポートサイドでは、燃費性能の向上などは認めながらも、ステアリングの剛性不足、ブレーキ性能の弱さ、乗り心地の悪さ、内装の質感低下などが低評価になった理由であるとしている。
今回のテストでトップになったのはヒュンダイエラントラ。
そしてガソリンモデルのセダンに続き、『コンシューマー・リポート』はシビックハイブリッドをテストした結果、ガソリンより1点高い62点にとどまったことにより、シビックハイブリッドを今後ユーザーに推奨しないとしている。
ちなみに、ホンダ車では同じテストで、インサイトが54点、CR-Zが57点となり、『コンシューマー・リポート』の推奨リストから外されている。
この『コンシューマー・リポート』のシビックの採点結果に対しアメリカホンダが反論。
アメリカホンダは声明のなかで、『コンシューマー・リポート』の新型シビックに対する評価は、受け入れられない。新型は先代に対して、燃費、安全性、信頼性など、あらゆる性能を引き上げていると強調。さらに、先代同様、新型シビックは最も信頼できる小型車の1台と確信していると不当に低い評価に対しての反論を締めくくった。
いっぽう、ホンダ本社ではどのように考えているのか?
「新型シビックの性能面に関しましては自信を持っています。特に安全性などに関しましては非常に評価を得ています。しかし、今回アメリカの『コンシューマー・リポート』で公表された結果については真摯に受け止めます。韓国車も優れたところが増えてきていますので脅威の存在となっています。甘く考えていると痛い目に遭ってしまいます」(ホンダ広報部談)
実際にシビックの販売状況はどのようになっているのかを聞いてみたところ、
「シビックは4月から北米で販売を開始なので、震災の影響を直接受けていますので、現時点では販売動向は思わしくありませんが、『コンシューマー・リポート』影響ではないと思われます。10月になればパーツなどの供給を含め、シビックの生産が正常化しますので、そこからが本当の勝負になると考えています」(ホンダ広報部談)
シビックは昨年北米で26万台超を販売。ホンダにとってはアコードに次ぐ量販車種ゆえに、シビックの販売不振は、ホンダにとってかなり深刻。
ホンダの8月の北米での新車販売は、前年同月比で24・3%の大幅減で、これで4カ月連続で前年割れしている。もちろんその最大の要因は震災の影響によるものだが、『コンシューマー・リポート』の低評価にあるとおり、ユーザーが魅力に感じていない可能性もある。
イメージ挽回のために、異例に早い大がかりなテコ入れ(マイチェン)を行なう、という噂もあるが、新型シビックは今後どうなるのか? 『コンシューマー・リポート』での低評価の影響なども含め聞いてみた。
以下はアメリカの『ロード&トラック』誌の国際編集長、サム三谷氏の見解だ。