福原義春 第4回「『マッカーサーが探した男』、あれをなぜNHKがドラマ化しないのかしら」

島地 勝彦 プロフィール

福原 ヨーロッパの上流社会は違いますでしょう。

シマジ 日本はマッカーサーによって、公爵子爵が剥奪されて、上流社会がなくなってしまってから、ますます幼稚な国になってしまったんじゃないですか。わたしがみたポルト・チェルヴォの光景は一生忘れられないものでした。ヨーロッパ社会の差別の現実をまざまざとみせつけられた感じでしたね。

「みろ、おれのこのデカいヨットを!」と自慢げにヨットハーバーに停泊しているのは、ヨーロッパの上流社会の富豪の遊び人たちなんです。何せ豪華順にヨットが岸壁に後尾をつけてもやっている。夕なずむ地中海の海に浮かぶ豪華ヨットのサロンでは、ハデなパーティが行なわれるんです。白人のくせに不気味に黒光りするいかにも上流階級の男たちがフルボディの女たちを侍らせて、妖しい宴が開かれている。それを大勢の群衆が羨ましそうに暗闇のなかから眺めている。そのなかにきっと未来の"少年オナシス"やサッカーの"ロナルド"がいるんでしょう。

「おれはどんなことをしても、大人になったらヨットの人になってやるぞ」と、こころに誓ってるにちがいない。この明々白々な格差こそヨーロッパ人のモチベーションになっていると、わたしは思いましたね。

福原 それは刺激的でしたでしょうね。

シマジ ところで、 福原さんにも新入社員のときがあったんですよね。

立木 やっと普通の対談になってきたなぞ。

福原 ありましたよ。ぼくのときから資生堂は大卒を採用したのです。だからぼくたち7名が大卒一期生でした。

シマジ それでは新人研修も受けられたのですか。

福原 もちろんです。販売活動で店頭でも働きましたし、工場にもいきました。伝票も沢山書かされましたね。

シマジ あの達筆な字で書かれたんですか。