ここは我らの支配する世界だ。我々は実力をもってこれを守る(This is our world, and we’re taking it back.)
─今週、アノニマス(Anomymouse)によるサイバーテロ予告が、米連邦議会に向かっておこなわれた。アノニマスは、政治的ハッカー活動を展開するハクティビズム(hacktivism)団体として知られている。
同団体は、米国で審議が続いているSOPA(Stop Online Piracy Act)に強く抗議しており、ついに「同法案が成立するならサイバーテロによる実力行使も辞さない」と警告を出したわけだ。今回は、インターネットによる海賊版撲滅を巡って揺れ動く米連邦議会を追ってみたい。
ハリウッドを抱える米国のエンタテインメント業界は、長年、インターネットに流れる違法コピー(海賊版)に悩まされてきた。そのため、過去数年に渡って違法コピー撲滅法の制定を働きかけてきた。
今年も、違法コピー撲滅を狙ったふたつの法案が起草されている。これがSOPA(H.R.3261)法案とPROTECT IP(S.968)法案だ。しかし、今年は例年になく厳しい内容で、その審議を巡って、業界間の対立が激しくなっている。
SOPAは、下院のLamar Smith議員(R-TX)が10月26日に起草した法案で、正式名称は「To promote prosperity, creativity, entrepreneurship, and innovation by combating the theft of U.S. property, and for other purposes」と言う。
一方、PROTECT IP法案は、上院のPatrick Leahy議員(D-VT)が、5月12日に起草した法案で、正式名称は「Preventing Real Online Threats to Economic Creativity and Theft of Intellectual Property Act of 2011」だ。
どちらの法案で、ドメイン・ネームからの削除という強固な手段を盛り込んでいるが、PROTECT IPは審議が中断している一方、SOPAは厳しい内容を盛り込んだまま審議が進んでいる。そこで、今回はSOPAを中心に解説してゆく。
今回テロ予告の対象となったSOPAは、法案の狙う規制対象が非常に広く、その点で弊害が大きいとして、家電業界やネット業界、市民系ロビー団体などが続々と反対声明を出している。また、多くのハイテク系メディアも予想される弊害についてレポートしている。