森福允彦 福岡ソフトバンクホークス「森福の11球」

フライデー
プロ入り後、コーチの助言でフォームをサイドハンドに変えたことも成長の一因。「僕の生きる道は制球力」

「先発のホールトン(32)の調子が悪すぎたんです。初回が終わった時点で『今日はダメだ』と思ったので、リリーフ陣には『もって5回か6回だから、準備しとけよ』と伝えていました」

 シーズン19勝を挙げ、田中将大(23・楽天)と並んで最多勝をマークした大黒柱の異変を素早く見抜いた女房役。その言葉を受け、森福は「今季はホールトンの後に自分が投げるケースが多かった。2番手は僕だろう」と予感したという。

マウンドに上がる前、必ずツバを見る。「おどおどせず、強気のピッチングをするのが自分らしさ」(森福)

 ゲームは中盤に突入。中日は5回裏に荒木雅博(34)のタイムリーで1点差に迫ると続く6回裏もホールトンを攻め、ヒット、二塁打、四球でノーアウト満塁。

 初回以降、追加点が取れないホークスと追い上げる中日。流れはすでに後者に移っていた。ここでホールトンは降板。リリーフとして告げられたのはやはり、森福の名だった。

「ランナーが出た時点で準備を始めていました。でも、まさかノーアウト満塁で出番が回ってくるとは・・・・・・」

 ナゴヤドームのブルペンはベンチのずっと奥にある。扉を開けてしばらく進み、左に曲がるとベンチにつながる真っすぐな通路。そこまで来ると、中日ファンの大音量の歓声が嫌でも耳に入る。

「集中はしていましたけど、歓声は聞こえていました。でも、何というか、いい緊張感だったと思います」

 高山郁夫投手コーチからは、こう声をかけられていた。

「1点はOK。それでもまだ同点だ」

 気楽にいけよ。そんな気遣いだったのだろう。しかし、森福の考えは逆だった。

「僕はマウンドでは、絶対にゼロに抑えることしか考えていない。ただ、ノーアウト満塁。外野フライでも1点。内野ゴロでも飛んだところが悪ければ1点。難しい場面です。まずは早めに追い込もう。それだけを考えていました」

 対する中日の打者は左打ちの野本圭(27)。サウスポーの森福に対して落合博満監督(58)はとっておきの代打を送る。シリーズ初戦で決勝ホームランを放った勝負強い右打者、小池正晃(31)である。彼はシリーズ前、首脳陣から森福攻略の一番手として「森福のところで行くぞ」とハッパをかけられていた。