日本シリーズ第4戦。小さな大投手・森福允彦は、無死満塁、絶体絶命のピンチをいかに封じたか
プロ野球にはいくつか、奇跡と呼ばれる伝説がある。その舞台が頂上決戦の日本シリーズならば、輝きは一層、増す。
その代表格が「江夏の21球」だろう。
広島と近鉄が覇を競った'79年の日本シリーズ最終戦。1点リードで9回を迎えたカープは、守護神・江夏豊にマウンドを託した。しかし、江夏はヒットと四球で無死満塁のピンチを迎えてしまう。
ワンヒットで2失点のピンチ。それは逆転で日本一を逃すことを意味する。だが、この絶体絶命の場面で大投手が本領発揮。まず三振で1アウトを奪うと、続く石渡茂のスクイズを見破って、ランナーを挟殺。最後は得意のカーブで空振り三振に切ってとったのだった。
ピンチ脱出に要した「21球」のドラマを描いた故・山際淳司氏のノンフィクション作品『江夏の21球』は今も、プロ野球ファンの間で語り草となっている。
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それから32年の時を経た今年。福岡ソフトバンクホークスと中日ドラゴンズで争った日本シリーズで新たなドラマが生まれた。