美食は食道がんに通ず、のか? 飲みすぎ、食いすぎ、手術がコワイ人、必読の書「死なない練習」の著者・長友啓典が語る、「食道がん、その後の経過報告」インタビュー3

長友 それでもボクは野菜を人より多く摂ったりしてて、じつはけっこう小心者なんです(笑)。だいたいみんな陰で何かやってますよ。写真家の加納典明さんだって肉食いすぎだからと言って助手に魚を煮させたりしてるし、篠山紀信さんだって玄米食やってたもの。結局、いま生き残っているのは隠れて何かやってたやつばかりだと思う(笑)。

 昔、憧れたのは作詞家の藤田まさとさんなんです。あの人なんかお茶ですよ。座っただけで何万も取られるような銀座のクラブをお茶で"はしご"してるんです。作詞家ってすごいなと思った。それで何軒か回って、女の子を連れて六本木、青山でしょ。

 ---「飲み歩く」って言いますけど、実際にはたいして歩いてはいないんですよね。

長友 ボクが歩くきっかけになったのは、万歩計をつけてみたことがあったからなんです。そうしたら一日に千歩いかなかった。何百歩です。それでも新宿のゴールデン街なんかに行ったりしてるのにね。

 お酒の話となれば銀座と同じくらいに新宿を忘れることができない。特にゴールデン街の店にはたくさんの思い出があるのだが、今ではそのほとんどがなくなってしまった。(『クリネタ』9号「K2くろにくる 其の四」より)

 ---でも、ゴールデン街は縦横に歩いたとしても、たいした距離はありませんからね(笑)

長友 千歩いってないのには愕然としました。家から事務所までタクシーで来て階段を上って降りて、また車、酒場、階段、もしくはエレベーター、そんなんやからね。

 ---それで食べたいもの食べて、朝までお酒を飲んでたわけですからね。

長友 よくやってたと思います。

 ---体がどこかで「歩け! 歩け!」って言ってたのかもしれませんね。

長友 そうだと思う。人から言われたら、絶対に歩かなかったと思う。何かのきっかけがあって、自分からやりださないと。嫁からなんぼ言われても、ダメやもの。卵やめろ、鰻やめろ言われたって、隠れて食べたりするから(笑)。

 ---自分から考えるきっかけがないとやらないですね。

長友 歩き始めたら、伊集院(静)さんとは絶交状態になりました(笑)。

 ---どうしてですか?

長友 一切誘わなくなりました。何や知らんけど「健康に走った人とは付き合わない」ということらしい(笑)。ひょっとしたら最近は彼自身も隠れて歩いてるのかも知らんけど。

 伊集院静さんとは「銀座探偵団」と称して年間300日程飲み歩いていたことがあった。
(『クリネタ』9号「K2くろにくる 其の四」より)