2011.11.30(Wed)

シリーズ 2020年の世界から見た2011年の日本2
~「食の砂漠」問題にいかに対応すべきか?~

筆者プロフィール&コラム概要
図3

 こうした民間企業による積極的な関与もあるものの、問題の根底には、貧困、格差問題、都市計画や生活インフラ整備といった大きな社会的課題が存在しており、国家レベルのアジェンダとして、今後さらにクローズアップされるものと予想される。

対岸の火事ではない日本

 人口減少による過疎化と高齢化に直面する我が国の地方においても、生活インフラの弱体化問題は対岸の火事ではない。2010-2020年において、人口の減少率は人口が少ない地域ほど高く、過疎と高齢化は一緒に進むものであることがわかっている。例えば、全国の50万人以上の市町村における人口減少率はわずか0.8%減だが、5千人未満の市町村では14.9%も減少する見通しである。2020年時点で全国の50万人以上の市町村における65歳以上人口の割合は27%程度だが、5千人未満の市町村では41%である *2 (図3参照)。

 ある自治体における大幅な人口減少や高齢化の進行は、財源不足を招き、医療・教育・交通インフラを質と量の両面で低下させるだけでなく、民間企業による財やサービスの提供インセンティブも削いでしまうことになりかねない。

現状でも600万人存在する「買い物弱者」

 日本国内で「食の砂漠」に最も近い問題は「買い物弱者」問題である。経済産業省は「買い物弱者」とは「住んでいる地域で日常の買い物をしたり、生活に必要なサービスを受けたりすることに困難を感じる人」と定義し、高齢者を中心に全国で約600万人と推計している *3

 「買い物弱者」とは、具体的には次のような人を指す。

・生鮮食料品が購入できる小売店が自動車圏内にしかないのに自動車を保有していなかったり運転ができなかったりする状態にある人
・小売店が徒歩圏内にあっても途中の坂道が急であったり、足腰が弱く、歩くことが不自由であったりする高齢者であり、徒歩で買い物をして商品を自宅に持ち帰ることができない状態にある人

 このような人々は、特に高齢者を中心に、実際に慢性的な低栄養の状態に陥っていると調査・指摘されており、それぞれの地域において早急な対策が必要な問題と考えられている。

*1 Access to Affordable and Nutritious Food: Measuring and Understanding Food Deserts and Their Consequences (USDA)
*2 国立社会保障・人口問題研究所「日本の市町村別将来推計人口」(平成20年12月推計)
*3 買い物弱者をささえていくために~24の事例と7つの工夫 ver2.0~」(経済産業省)
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