夫に早く死んでほしい妻たち

「あなたの存在自体がストレスなのよ!」
週刊現代 プロフィール

「民法30条~の『失踪宣告』のことでしょう。元来は夫や妻が生死不明になった場合に利用する制度ですが、利用の仕方によっては、『生きている夫を死んだことにできる制度』です。夫の生死不明状態が7年間続けば、妻は家庭裁判所から"失踪宣告"をしてもらえます。
   そうすれば、たとえ夫が愛人とどこかで元気に暮らしていても、夫は『死んだもの』とみなされるのです。"失踪宣告"によって夫が死亡したものとみなされれば、夫の財産を相続する・勝手に売ることも、次の相手と再婚することもできます。ただの離婚では夫の財産を無条件で相続することはできませんが、失踪宣告の場合はそれが可能になる」

 実際には、7年もの間、夫の生死不明状態が続くということは稀であるため、そう簡単に"失踪宣告"を適用し、夫を死んだことにできるわけではない。しかし、法律によって夫を葬ろうと考える妻がいることは、男性に恐怖を与えるのに十分すぎる話である。

 ところで、一度は愛を誓い合ったはずなのに、夫に「死んでほしい」「消えてほしい」とまで思ってしまう女性の心理を理解できない方も多いのではないだろうか。

 前回の記事では、夫が死んでくれれば、生命保険や遺族年金、さらに家のローンがチャラになるなど、生活が現状よりもラクになるため、夫に死んでほしいと思っている、と経済的な面からこの心理を説明したが、"乙女心"は複雑で、それがすべてではない。

「恋人・夫婦仲相談所」を運営する二松まゆみ氏は、夫に死んでほしいと思う女性の心理をこう説明する。

「女性は些細な不満でも、忘れることなく覚えています。『10年前、私の誕生日を忘れていた』とか、『あのとき、セックスを拒否した』といった不満が、女性の心の奥底には沈殿している。そうした不満が5年、10年と溜まっていくことで、夫に対して『死んでほしい』『消えてほしい』と思うようになるのです」

 離婚カウンセラーの岡野あつこ氏は「ある意味、死別は女性にとって、最も理想的な別れ方なのではないか」と言う。

「夫と離婚するということは、自分の選択=パートナー選びが間違っていたことを認めなくてはならないということです。一方、死別なら『いい人だった』といいことだけが思いおこされるから、自分の選択が過ちだったと認めなくてもいいし、故人のためにも強く生きられる。夫に不満を持っている人からみれば、死別こそ最も理想的な別れ方なのです」

 ここで注目したいのは、岡野氏をはじめ、夫婦問題の専門家らが、夫婦の年代によって、この問題の深刻さは変わってくるとそろって指摘することだ。

 30代前後の夫婦の場合、夫は少なからず『夫婦間で家事の分担はするもの』といった価値観を持っている。

 一方の妻も、男女平等の意識を強く持って育った世代であるので、主張すべきところは主張する。夫に死んでほしいという意識を持っていれば、面と向かって不満を主張するし、夫も『妻がそんな不満を持っているのなら、聞いてあげなければならない』と話し合いの場を持つので、妻の不満を解消するチャンスがある、ということだ。

 問題は、50代以上の夫婦の場合である。