思いやり行動(向社会行動)遺伝子が発見された!

 社会心理学で「向社会行動」とは「他者の身体的・心理的幸福を配慮し、ある程度の出費を覚悟して、自由意志から他者に恩恵を与えるために行う行動」と定義されています。他人を助けたり、他人に積極的に関わろうとする行動、つまり弱者や困窮、困難に遭遇している人に対する思いやりの行動のことであると考えて良いと思いますが、特定の遺伝子がこうした行動に関わっていることが、オレゴン州立大学のSarina Rodrigues Saturn博士らがProceedings of the National Academy of Sciences 2011年11月14日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。

 博士らは自身の以前の研究で、ホルモンであり神経伝達物質としての作用もある「オキシトシン」の受容体に影響を与える遺伝的変異が、共感性とストレス反応に関係していることを発見していました。

 そこで今回の研究では、そうした遺伝的変異が実際の人間の行動に、どのように影響しているのかを明らかにする目的で実験的を行いました。実験は以下のとおりです。

 1.まず恋愛関係にある男女のカップルの片方が自分の人生で非常に苦痛を味わった体験について語り、カップルのもう一人はその話を聞いている状況を、 特に聞き手側の表情や体の動きなど非言語的な反応に焦点を当てたビデオ映像として、合計23組分撮影されました。

 2.次に1で撮影されたビデオ映像を彼らとは無関係の被験者に20秒間見せて、カップルの聞き手側の人間の、親切さ、信頼性、思いやり気遣いなどが、どの程度に感じられたかを評定させ、聞き手側の人間の向社会行動傾向が測定されました。

 ビデオ映像が撮影される前に被写体となったカップルは、オキシトシン受容体の遺伝子型がそれぞれGG型、AG型、AA型の3つのうちのいずれかであることが特定されていました。