高血圧になると感情表現を読み取る能力が低下する!

 以前はちょっとでも悩み事があったり落ち込んでいたりすると、どうしたのかと言葉をかけてくれた上司や妻、母親が、そうした気遣いの言葉がけをしてくれることが少なくなった時、それはあなたに関心がなくなったり嫌いになったりしたわけではなく、高血圧のためかもしれません。一方であなたが上司や妻の怒りに気づかず大きな失敗を犯したりしたら、しっかり自分の血圧を調べるべきかもしれません。

 米国・サウスカロライナ州クレムソン大学のJames A. McCubbin教授らがPsychosomatic Medicine 2011年10月31日オンライン版に発表した研究で、高血圧の人は怒り、恐怖、悲しみ、満足や幸福などの感情表現を、顔の表情や言葉、文章から読み取って認知する能力が減退してしまうことが明らかになりました。

 教授らは106人(男性51人、女性55人、平均年齢52.8歳)のアフリカ系アメリカ人を対象に、心身状態を診断した上で、人間の顔の表情と文章から感情を読み取る感情知覚認知テストを実施し、さらに彼らの安静時血圧、全末梢血管抵抗、心拍出量、心拍数をPortapres(立位、運動時、睡眠時など、環境に制限されない携帯型の連続血圧測定装置)で継続的に測定しました。

 データを分析した結果、被験者のBMI値、社会経済教育状態や、身体の健康状態の要素などを調整した上で、血圧と全末梢血管抵抗が上昇して高くなるほど、感情知覚認知テストの得点が低下していることが統計的に明らかになりました。

 教授らは、情動を制御する脳の中枢神経系と血行動態の状況、高血圧症の発症の潜在的な関係が、この研究結果から示唆されたのではないかとし、血圧の上昇が感情認知の低下に繋がることで、躁うつ病などに代表される情動制御障害につながっている可能性も考えられ、さらに研究を進めたいとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Psychosomatic Medicine 2011年10月31日オンライン版