乳がん発症リスクは3日に缶ビール1本程度のアルコール摂取でも上昇する!

 顔が赤くなるようなタイプではない、いわゆるお酒に強いと言われるアルコール分解酵素を持つ健康な人ならば、一日に缶ビール1本、日本酒1合、ワイン1杯程度の飲酒も健康にマイナスではなく、循環器系などにプラスの作用もあるといわれていますが、米国・ハーバード大学医学部のWendy Y. Chen博士らがJournal of the American Medical Associatio 2011年11月2日号に発表した研究で、3日に350mlの缶ビール1本程度のアルコール摂取でも、乳がんの発症リスクが増加することが明らかになりました。

 博士らはこれまでにもアルコール摂取と乳がんの発症に関する研究はなされてきたものの、それらの研究がカバーしきれていない部分が多々あると考えられることから、大規模かつ長期間に渡るデータを詳細に分析する必要があると考え、研究を実施したということです。

 そこで看護師の女性が多数参加して開始された看護師健康研究のデータ105986人分について、1980年時点より2008年まで辿ってアルコール飲料摂取と乳がん発症の関係を分析しました。この期間中に調査対象者のうち7.690人が浸潤性乳がんと診断されました。

 博士らが毎日のアルコール飲料の消費量(アルコール量に換算)と発症リスクの関係を消費量段階別にして計算した結果、全くアルコール飲料を飲まない人の発症リスクに比べて一日平均5.0g~9.9g(350mlの缶ビール1本の場合、市販されている5%のアルコール濃度で換算して17.5gのアルコールが含有されるので週に缶ビール2本から4本未満)飲む人は、15%、10.0g~29.9g(週に缶ビール4~16本未満)の人は約20%、30g以上(16本以上)では約50%も増加していました。

 これはアルコール摂取量が一日あたり10g増えるごとに10%乳がん発症リスクが増加することを示しています。そしてこれは40歳未満であれ40歳以上であれ、年齢階層にかかわらず同様の結果でした。

 この結果から博士らは、毎日かなりの量のアルコール飲料を飲む女性のリスク増だけでなく、これまでは健康にあまり悪影響がないと考えられていた程度の適度なアルコール摂取量でも、乳がん発症リスクが長期間のうちには統計的にも有意なほど、リスクの増加があることが明らかなので、乳がんの家族歴のある女性は特にアルコール摂取には注意すべきであるとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Journal of the American Medical Association 2011年11月2日号