2011.11.10(Thu)

「日本人は何を食べてきたか」第2回 徳川光圀

筆者プロフィール&コラム概要

 光圀が生きた当時は、戦国時代が終わり、天下太平へ続く時期。武家も町民も、食べることを楽しみはじめた時代。水戸徳川家は参勤交代をする必要がなく、光圀は藩主の座にいる間、うどんや素麺、蕎麦、焼き餅などの江戸グルメを堪能したことだろう。

 一方水戸藩は、海の幸山の幸ともに豊かな土地柄だ。秋になると那珂川を登るサケが珍重され、その年初めて獲れる「初サケ」は必ず藩主に献上され、光圀も毎年必ず食べていた。初サケは麹と塩で漬けられ、江戸に献上された。

「水戸で漬けたこのサケが江戸に運ばれるうちに、ちょうどよい漬かり具合になったのだそうです」(斉正さん)

 「初霜漬」と呼ばれるこの逸品を、こんがりと炭火で焼き上げる。熱々の銀シャリに、麹風味の初サケ。となれば、光圀たまりません。

「水戸藩の藩主でよかった!」なんて叫んだでしょうか。

 えっ? 水戸といえば納豆じゃないの? そうです、たしかに有名な「水戸納豆」。水戸藩では古くから家庭ごとに納豆が作られたという。黄門様ももちろん好物。ただ一般的な「糸引き納豆」よりも「唐納豆」が好きだったという。「唐納豆」は黒豆を塩で煮て、麹、生姜などと共に2カ月ほど寝かせたもの。多くは寺で作られ、献上されたという。どんな味だったんでしょう?

「復原したものを食べたことがありますが、正直おいしいとは・・・(笑)」(斉正さん)

 あれ、残念。けれど、黄門様、お酒もだいぶいける口。きっとこの珍味「唐納豆」をつまみに一杯やっておられたでしょう。で、多くの名言を残された黄門様、酒についても、当然あります。

「酒を恃んで盛んなる気は、真の勇気にあらず」(『水戸光圀語録』)

 酒に酔って気が大きくなるのは真の勇気ではない、とおっしゃる。

 うーん、さすが黄門様。のんべえの生態をよくご存じ。ワタクシ固く肝に銘じます!

参考資料
『水戸黄門の食卓 元禄の食事情』(小菅桂子・中央公論社)
『水戸光圀語録 生きつづける合理的精神』(鈴木一夫 中央公論新社)
『水戸黄門千夜一夜』(読売新聞社水戸支局編 鶴屋書店)

 

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