大反響!世界同時ベストセラー『スティーブ・ジョブズ』
独占掲載第2回 ガンとの闘い

週刊現代 プロフィール

 アップル追放後すぐにコンピュータ会社ネクストを創業したもののうまくいかず、映像制作会社ピクサーのCEOとして映画『トイ・ストーリー』をヒットさせたが、それだけでは満たされない。そして、'96年12月。ジョブズを失ってからマイクロソフトにいいようにやられていたアップルが、ついにネクスト社を買収し、ジョブズを呼び戻す決断をする。追放から11年が経っていた。

 ライバルのビル・ゲイツは、ジョブズ復帰を検討するアップル幹部に、こう語った。

〈「スティーブはテクノロジーなんてなにもわからないってご存じないんですか? 単なるスーパーセールスマンなんですよ。そんなバカげた決定をなさるなんて信じられません・・・・・・彼はエンジニアリングについてなにもわかってないし、言うこと、考えることの99パーセントは間違ってる」〉

 ゲイツにとっても、ジョブズの復帰は脅威だったのだろう。一方、復帰を決めたジョブズに、アップルの経営陣に対する遠慮はなかった。

〈「輝きを取り戻さなければならない。この10年、マックはほとんど進化しなかった。だからウィンドウズに追いつかれてしまった。だから、もっといいOSを開発しなければならない」

 このあとすぐ、ジョブズは、自分が信頼する部下をアップルの要職に就けはじめる。

「ネクストから移籍した優秀な人々が、当時、アップルの要職にいた、あまり優秀でない連中に後ろから刺されることがないようにしたいと思ったんだ」〉

 当時のCEOだったギル・アメリオについては、もっとも辛辣である。

〈ギルはまぬけだと真実を告げるか、あるいは言わないという形のうそをつくかしかないと思った。アップルがとても大事だったから、真実を告げようと思ったんだ。だから、彼はいままで見たことがないほどひどいCEOだ、CEOに免許があるなら彼には取れないだろうって話した。電話を切ったとき思ったよ。ばかなことをしてしまったのかもしれないって〉

 この時点ではアドバイザーという立場だったジョブズは、アメリオがCEOの座から追われた後、紆余曲折を経て、最終的にCEOに就く。これにより、アップルは生まれ変わり、ジョブズ自身も再生した。

パワーポイントは使用禁止

 創業者ジョブズのアップルに対する思いを率直にぶつけたスピーチがある。'97年8月、アップルのファンを招いて開かれたイベントでジョブズが語ったメッセージである。

「我々も常識とは違うことを考え、アップルの製品をずっと買い続けてくれている人々のためにいい仕事をしたいと思う。自分はおかしいんじゃないかと思う瞬間が人にはある。でも、その異常こそ天賦の才の表れなんだ」〉