男性は苦境に陥ると女漁りに走りたくなる!?

 進化心理学は社会学と生物学の視点から、現代的な進化理論を用いて感情、認知、性的適応の進化など、人間の本性を解明する学際的な学問分野ですが、この進化心理学の観点から人間の男性を見た場合、男性は生命が脅かされることも含めた危機的状況に陥るとできるだけ早いうちに、自分の子孫を残そうとして、短期的な繁殖行動、簡単に言えば手短にいる、なるべく多くの女性とセックスしようとするようになると考えられるのだそうです。

 米国・カンザス大学社会心理学教授Omri Gillath博士らは、この進化心理学の理論から導かれる男性の行動傾向が、事実であるかどうか実証する実験を行い、その結果をJournal of Experimental Social Psychology 2011年11月号に発表しました。

 教授らは上記の理論に基づく「男性は自分の存在が脅かされる、死の危険を感じると性的に覚醒し、より性欲が増す」仮説を実証することを目的に実験を行いました。

 実験は、まず最初に、男性被験者に死を意識させる刺激と、歯痛を意識させる刺激の2つを、被験者が認識できる条件と、潜在意識にアプローチするサブリミナル刺激の条件の2つの場合に分けて見せました。その後、被験者に性的な刺激となる女性の画像を、被験者がレバーを押すと、次々たくさん見ることができるようにして、その違いを調べるというものでした。

 データを分析した結果、意識的であっても潜在意識下であっても、死を意識させられた場合のほうが、歯痛の場合よりも、性的な刺激となる女性の画像を求めて素早く、より多く反応することが明らかになりました。

 これまでにも上記の危機が男性の性行動を増加させるという仮説は、経済的に貧しい国ほど出生率が高いことや、貧しい階層ほど性交開始年齢が低いことなどで傍証されていましたが、教授はこの結果について、男性は死を意識させられると性的な覚醒が増すことを初めて実験的に立証し、仮説が正しいことを証明したものといえるのではないかとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Journal of Experimental Social Psychology 2011年11月号