2011.04.14(Thu) 週刊現代

こんな「被曝食品」調査を信用していいのか

取材すればするほど、あまりのズサンさに驚く

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週刊現代

 規制値についても、冒頭に記したように、恣意的に上下させようとするから、農家と消費者の無用な不安を煽るのである。

 環境総合研究所の池田こみち副所長が語る。

「国の姿勢は、水の摂取制限のときも滅茶苦茶でした。東京では、乳児は飲むなと言った翌日には飲んでもいいと言う。しかし、その理由がわからないから誰も信用しません。テレビで『安全だ』と繰り返すばかりの御用学者と同様、はじめから『安全ありき』だからダメなんです」

 福島第一原発からは、放射性ヨウ素やセシウムに加え、ついにプルトニウムまで漏れ出した。こうした放射性物質は、土壌をどんどん汚染していく。今後も規制値を上回る品目が増えることは避けられまい。

 日本環境学会前会長の畑明郎氏(元大阪市立大学教授)が言う。

「3月30日、原発から40km離れた飯舘村でIAEA(国際原子力機関)の避難基準値を超える土壌の汚染が見つかりました。ということは、相当広い範囲で土壌が汚染されていることは確実です。放射性物質のなかでもセシウム137は、土中5㎝くらいのところまで入り込むので、葉物だけでなく、根菜類にも注意が必要です。そのうえで農地調査を行い、汚染度をきちんと公表し、作付け制限をかけたり、土壌を掘り返して汚染された部分をそっくり入れ替えることも考えなければなりません」

 ことは人命に関わる問題である。しかし、厚労省医薬食品局食品安全部の官僚に危機意識はない。

—「被曝食品」調査は、厚労省が主導すべきではないのか。

「現状はとにかく事実の把握に必死でして・・・」

—調べる対象にしても、自治体でバラバラです。今はほうれん草など葉物が中心ですが、大根なら白い部分は調べるけど、葉の部分を調べていないところも多い。大丈夫なのか。

「そう言えば、そうですね。大根は葉を切って調査するから、葉の部分は調査していないはずです。葉も食べますから、それは大事ですね。これから考えます」

 国がぶれない指針を立て、ズサンな調査を改めない限り、農家も消費者も被害者という状況は続く。

 

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