2011.04.14(Thu) 週刊現代

こんな「被曝食品」調査を信用していいのか

取材すればするほど、あまりのズサンさに驚く

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週刊現代

「我が県では放射性物質を調べる機械は使い物にならなくなってしまったので、検査は国などにお願いしています」

 こう答えたのは福島県農林水産部農産物安全流通課。検査機器があった大熊町は、まさに福島第一原発から半径10km以内にある。そこまで行かないと検査すらできない。そして、国が検査を担当した結果、次々に検査件数が増え、規制値を超える品目が増えていく。

 一方、検査件数が少ない栃木県。

「件数が少なく見えるのは理由がありまして、検査機器の問題なんです。茨城や福島、新潟など原発を抱える自治体は、放射能を分析する施設が充実しています。こちらにも施設はあるのですが、大気中の放射能などを分析するので手一杯で、農産物まで手が回らない。農水省に検査をお願いしている状態です」(栃木県農政部経済流通課)

 同じように検査機器が足りないという声は、山形、宮城、埼玉、神奈川、長野の各県でも上がった。検査能力があるかどうかもわからないのに、厚労省が無責任に検査を丸投げしたことは明らかだろう。自治体にすれば、検査したくても機器が揃わないという状態で、そうしている間にも福島第一原発では、放射能が漏れ続ける。

 現在のところ、水産物の調査を行ったのは千葉県と神奈川県だけで、両県とも規制値を超える放射性物質は見つかっていないが、海水汚染の実態を考えると、本格的な調査が開始される前に、魚などが汚染されていく事態が容易に想像できる。

 しかも、検査は任せきりなのに、出荷制限の判断は、国の原子力災害対策特別措置法に基づいて、内閣府の食品安全委員会が決定する。自治体は生産団体などに「出荷しないように」と通知するだけ。その国の判断が厳しくとも、確固たる基準があれば農家も納得できるが、こちらも曖昧だ。とりあえず福島第一原発に近い4県だけ出荷制限をかけておいて、後のことは何ら考えていなかったことが透けて見える。

調べないから、出ないだけ

 それを証明するように、8品目で規制値を超過した千葉県と、小松菜が規制値を上回った東京都には、なんの制限もかけられていない。

 その理由について、千葉県農林水産部安全農業推進課は、次のように回答した。

「出荷制限するかどうかは、国が決めることですが、千葉県の場合は、検査地域が一部に限られていたり、規制値オーバーの地域が一部だけだったということで出荷制限の判断が出なかったようです。それでも県としては『出荷自粛のお願い』を出していますので、規制値を超えたものは出回っていない・・・と思います」

 つづいて東京都産業労働局農林水産部食料安全課。

「調査したのは13件で、規制値を超えたのは小松菜1件でした。規制値を超えた小松菜は、江戸川区で、都が研究用に栽培していたものなので、流通に乗ることはありません。念のため、付近の農家の小松菜も調べましたが、規制値を下回ったので、国としても出荷制限措置を取ることはないということでしょう」

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