2011.04.14(Thu) 週刊現代

こんな「被曝食品」調査を信用していいのか

取材すればするほど、あまりのズサンさに驚く

筆者プロフィール&コラム概要
週刊現代

 このように、いまの「被曝食品」調査は規制値一つとっても泥縄式で、厚労省が調査を各自治体に丸投げしたから、調べる野菜などの種類や件数はまちまちだし、出荷制限の判断基準も不透明。おまけに出荷制限をしながら、政府が「1年間食べ続けても、ただちに人体には影響のないレベル」などと説明するから、生産者の農家も、消費者も混乱するばかりなのだ。

そもそも検査機器がない

 本誌が栃木県JAうつのみやを取材すると、こんな声が返ってきた。

「規制値を上回ったと一方的に言ってきて、その後、もう大丈夫ですと言われても、実際には売れるわけがない。なんでこの数値ならダメで、どうなれば大丈夫なのか基準を明確にしてほしい。順序が逆なんです」

 まさにその通りで、消費者としても、これまでさんざん政府の根拠なき「安全宣言」を聞かされ続けてきた。だからこそ、出荷制限をかけられている品目が一つでもあれば、他の品目が規制値を超えていなくても、産地を見てつい買い控えてしまう。

 政府はすぐに「風評被害をなくせ」と騒ぐが、風評被害を生んでいるのは、自分たちの場当たり的な対応だということに気付いていない。

 日本消費者連盟の富山洋子代表運営委員もこう憤る。

「緊急時の原発作業員の被曝線量上限を、福島第一原発の事故が起きた途端に2・5倍に引き上げるなど、政府のやり方は行き当たりばったりがあまりに多い。本当に国民の命のことを考えるならば、唯一の被爆国として『食品衛生法』に放射能汚染の際の規制値を定めておけばいいのに、それさえなかったのですから。

 そもそも、厚労省は原発に近い各自治体に、食品の放射能汚染を調べるよう要請しましたが、現在のような状況でちゃんと調べることが可能なのか、事前に考えたのでしょうか」

 上の表は、3月30日現在で、厚労省がとりまとめた各自治体の食品検査数と規制値を超えた品目の一覧だ。一見して検査件数のバラツキがわかる。もっとも検査数が多いのは、福島第一原発を抱える福島県の235件で、同様に出荷制限を受けている栃木県は福島の約5分の1の44件に過ぎない。

 各自治体の反応からは困惑ぶりが伝わってきた。

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