Close up 坂本勇人
巨人 初めて明かす統一球との苦闘

フライデー

 昨年はシーズンフルイニング出場を果たし、年俸は1億円を超えた(推定1億2000万円)。入団5年目での〝大台〟突破は、高卒の野手としてはイチロー(37、マリナーズ)、松井秀喜(37、アスレチックス)に次ぐ、史上3番目の速さである。

「言い訳にしたらプロ失格」

3年連続2桁本塁打を記録している長打力は魅力だが、守備には不安が残る。昨季は、両リーグワーストの21失策。今季も18個の失策をしている

「イチローさんや松井さんは、あまりに次元の違う方ですが、評価していただいたのは素直に嬉しいです。今年はソフトバンクの内川聖一さん(29)を参考に、キャンプから右方向にも強い打球を飛ばせるように意識しています。僕の安打の大半は左方向なので、右にも強く打てれば自然と打率も上がるでしょうから」

 そのために取り組んだのが、下半身を強くすること。ウェイトトレーニングに加え、練習の合間や風呂上がりなどに相撲の股割りをし、下半身強化に励んだのだ。右方向へボールを打ち返す感覚を磨くために、外角にボールを投げてもらうティーバッティングも続けた。

「常に目的意識を持って、練習するようにしています。いろいろな方からアドバイスをもらいますが、まずは試してみる。その練習法が自分に合っていれば、継続してやるようにしているんです」

 坂本は今季の開幕戦で、順調なスタートを切った。4月12日のヤクルト戦で5打数2安打2打点の活躍をし、「開幕戦のヒットは初めてなので嬉しい。積極的にいったのが良かった」と息を弾ませたのである。だが、好調は長く続かない。練習では飛ばせていた力強い打球が、試合の〝生きた球〟ではなかなか出ないのだ。4月こそ3割3分3厘と結果を残したものの、5月に入ると月間打率は2割1分1厘に急降下。6月以降も、2割台前半から半ばと低迷した。

 1年間にわたり坂本を悩ませ続けることになる不調の最大の原因は、ボールにある。今季から採用された、低反発の統一球だ。低反発球は差し込まれると飛ばないため、大半の打者は打つポイントをなるべく前にしようと意識し、上体が突っ込んでしまう。坂本も対応に苦慮した。坂本の今季は、統一球との闘いだったと言っても過言ではないだろう。

「統一球の影響がないと言ったらウソになります。抜けたと思った当たりが野手に捕られるケースは、けっこうありますから。でもそれを言い訳にしていたら、プロとは言えない。統一球のマイナス要素を克服する技術が、僕にはまだないということなのでしょう」

 不振から抜け出せない坂本に、原辰徳監督(53)は〝荒療治〟を施す。7月31日のヤクルト戦で「レギュラーとして、ふさわしくない」と語り、5回の守備から坂本を途中交代させてしまったのだ。 

 '09 年10月10日の広島戦から続いていた坂本の連続フルイニング出場記録も、225試合でストップしてしまった。