不振から連続フルイニング出場が途切れた悔しさ、原辰徳監督との二人だけの特訓・・・本人が語った「新打法獲得」までの軌跡
「あぁ、もう!」
巨人のリードオフマン坂本勇人(22)は、試合前のティーバッティングでイラついたような声を上げた。納得のいく打球を飛ばせないのだろう。不満気な表情を浮かべ、天を仰ぐ。本誌が取材で東京ドームを訪れた、9月下旬のことだ。坂本が、悔しさを滲ませる。
「今季は良くないですね。ぜんぜん。ちょっと調子が上がってきたら、またダメになる。その繰り返しです」
レギュラーシーズンが残り1試合となった10月18日現在(成績は以下同)、坂本の成績は打率2割6分4厘、16本塁打、59打点だ。昨季、打率2割8分1厘、31本塁打、85打点を記録し、今季の目標に打率3割達成を掲げていた坂本にとって、とても満足できる数字ではない。
「結果を残せないのは、本当に悔しいです。1番バッターは、出塁しないことには勝利に貢献できない。1打席でも1球でも早く、何とか良い状態に戻そうと考えているのですが、なかなかうまくいっていないのが現実です・・・・・・」
不振に喘ぐ坂本だが、これまでは着実にキャリアを重ねてきた。甲子園に出場した'06年春の東北大会では、光星学院(青森県)の4番として打率8割1分3厘、4本塁打の活躍。一躍その年の〝目玉〟として注目され、ドラフト1巡目で巨人に入団する。2年目に遊撃手のレギュラーに定着すると、3年目の '09 年には打率3割6厘、18本塁打、62打点の好成績でベストナインのタイトルを獲得。