中国共産党の年に一度のビッグイベント「6中全会」
「文化事業機関」を市場化していく中国の今後は?

中国共産党の党旗〔PHOTO〕gettyimages

 10月15日から18日まで、北京で「6中全会」が開かれ、胡錦濤総書記が中国共産党中央委員会の委託を受けて報告した、<中国共産党中央委員会の文化体制改革を深化させ社会主義の文化大発展と大繁栄を推進させるための若干の重大な問題の決定に関して>について4日間にわたって議論した後、全会一致で採択した。

 と、こう書いても、日本人には何のことやら訳が分からないだろう。まず、6中全会とは、中国共産党第17期中央委員会第6回全体会議のことで、いわば中国共産党の年に一度のビッグイベントである。参加するのは、胡錦濤総書記以下、中国共産党員8026万人(2010年末時点)の頂点に立つ、中央政治局委員208人と、政治局員候補163人の計371人。長いタイトルの<・・・>は、要は「どうしたら中国が文化立国になれるか」ということだ。

 中国は古代は世界一の文化・文明大国だった。それがいまや、経済は世界第2位になったのに、文化はひどく劣っている。そこで中国共産党を挙げて、いまこそ「中華文化のルネッサンス」を起こす、そして2020年に「社会主義文化強国」となるのだ、と高らかに宣言したのが、この4日間にわたる会議だったのである。

 6中全会の第1のキーワードは、「文化面における社会主義市場経済化」である。中国は、1970年代末から、鄧小平の鶴の一声で改革開放政策を始めたが、「中国共産党の宣伝・煽動機関」という位置づけの文化面だけは除外した。それを三十数年の時を経てようやく、そろりそろりと改革開放していこうというのである。

 6中全会の報告によれば、こうした方針に沿って、中国全土に4000余りある「文化事業機関」を市場化していくという。市場化とは、公共機関が市場のニーズに合った(国有)企業として生まれ変わることだ。すでに全国419の地方出版社のうち402社は企業化し、全国29ヵ所の映画製作所のうち27ヵ所、全国362の映画会社のうち327社、全国460の映画館経営機関のうち411社、全国57のテレビドラマ制作機構のうち52社、全国2118の国有文芸団体のうち590社、全国に3000以上ある政治ニュース以外を扱う新聞社のうち595社が、それぞれ企業化したという。

 企業化と言っても、民営化ではない。日本で言えば、国公立大学が私立大学になるのではなく、独立行政法人になるようなイメージだ。すなわち、全国の出版社も映画会社も、あらゆるマスメディアも、国の事業体から国有企業に生まれ変わるということだ。この措置によって、文化関連企業が、市場のニーズに合った経営を行うことができるようになるという。たとえば、外国人に人気の雑技団や京劇の劇団は、もっと自由に金儲けに走ってよいということだ。

 第2のポイントは、「中華文化の走出去」である。「走出去」とは、海外進出のことだ。中国は世界一の輸出大国なのに、文化面だけは輸入過多である。たとえば、日本の書籍の中国での翻訳出版、及び中国の書籍の日本での翻訳出版の仲介をしているわが社の場合、昨年実績で、日本→中国の143冊に対して、中国→日本はたったの1冊である。別に日本側に何かの規制があるわけではなくて、中国のベストセラーをいくら日本の出版社に薦めても、乗ってこないのだ。