オックスフォード大学発!世界の社会起業家が集う
「スコール・ワールド・フォーラム」参加レポート

社会変革の舞台で加速するオンライン・マス・コラボレーション
「スコール・ワールド・フォーラム」のホームページ

 世界中から社会起業家、社会イノベーションに関わる専門家が集う「スコール・ワールド・フォーラム」という国際会議が、3月30日から4月1日の3日間、イギリス、オックスフォード大学で開催されました。

 「スコール・ワールド・フォーラム」(The Skoll World Forum on Social Entrepreneurship)とは、米オークションサイトeBay共同創業者ジェフ・スコール(Jeff Skoll)氏が創設したスコール財団が主催となり、社会の多様な課題解決を起業家的なアプローチで取り組むことを目指す会議です。 今年で8回目を数えます。

 議論されるテーマは、貧困問題や経済開発、水や食糧の安全保障、災害からの復興支援、途上国における女性のエンパワーメント、紛争解決と平和構築、ソーシャルファイナンス等、多岐にわたります。国、国際機関、多国籍企業、NPO等の既存の枠を超えた解決策を模索し、協業を生み出すためのネットワーキングの機会としても知られています。

ノーベル平和賞受賞者デスモンド・ツツ大主教によるスピーチ

 過去のゲスト・スピーカーにはアル・ゴア氏、ムハマド・ユヌス氏、ジミー・カーター氏等が名を連ね、今年のゲスト・スピーカーには、南アフリカのアパルトヘイト撤廃運動に貢献し、1984年にノーベル平和賞を受賞した、デスモンド・ツツ大主教が参加しました。

 今年のテーマには、「Large Scale Change – ecosystems, networks and collaborative action.(大きなスケールでの変革〜エコシステム、ネットワーク、コラボレーション(連携)を伴う行動)」が掲げられ、約800人の参加者が、分科会、ワークショップ、レセプション等を通じ、議論が繰り広げられました。

社会変革の舞台で加速するオンライン・マス・コラボレーション

 私が初めて参加した昨年と比べ、今年の会議全体を通じて強く感じたことは、あらゆる場面でオンラインのコラボレーション(協業)の重要性が指摘され、具体的な事例も数多く紹介されていたことです。

分科会の様子:左から2番目が『Open IDEO』(オープン・アイデオ)のデザイン・ディレクター、トム・ハルム氏

 参加した2つの分科会は、数あるセッションの中で印象深いものでした。

 [1] 『Systems Innovation: Breaking Barriers to Large Scale Change(システム・イノベーション:大きなスケールでの変革のために、如何に障壁を壊すか)』

 以前に本コラムでもご紹介した『Open IDEO*1(オープン・アイデオ)のデザイン・ディレクター、トム・ハルム(Tom Hulme)氏が登壇し、ソーシャルメディアを活用したコラボレーションの重要性、そのための以下の3つの秘訣を指摘しました。

 ・既に存在する人々の行動様式を理解し、最大限活用する
・対象とする人々が利用しているメディアを見極めた上で規模拡大を行う
・まず早い段階でプロタイプ(試作品)を作り、フィードバックを募り改善を続ける

 その上で、フェイスブックやツイッター等のソーシャルメディアの活用が大きく成功に寄与したと言われるエジプト民主革命のリーダーの以下の言葉も引用され、多くの人の共感を得るセッションでした。

「誰か一人のヒーローが率いるのではなく、名もなき多くの市民がそれぞれ出来ることをして革命が実現したのです。」

 [2]『Clouds, Crowds and Social Change(クラウドコンピューティング、クラウド(集合知)、社会変革)』

 本セッションでは既に何度も本コラムで紹介しているクライシスマッピングサイト『ウシャヒディ*2のディレクター、パトリック・メイヤー(Patrick Meier)氏が登壇しました。今回の日本での地震発生直後、7時間後に運用開始された「震災.info(www.sinsai.info)」の事例も含め、如何に位置情報に紐づいた情報の集約・整理が災害救援・復興活動時等に重要な役割を果たしつつあるかが語られました。

 中でも印象的だったのは、時々刻々と変化しているリビア情勢を把握するために、国連機関であるOCHA(Office for Coordination of Humanitarian Affairs:国連人道問題調整部)が、ウシャヒディに依頼をし、そのプラットフォームサービスを利用している、ということでした。 このことは既に国際紛争の現地情勢分析のために、ウシャヒディの提供するサービスが必要不可欠な役割を果たしている、ということを示しています。

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