追悼 PCだけではなく音楽、映像など6つの産業に
革命をもたらした天才起業家の生涯と、見果てぬ夢
スティーブ・ジョブズが遺した「アップル魂」

フライデー プロフィール

「PCを介さずAppStoreを使えるようにしたiPhoneは傑作だったが、ジョブズの次の夢は、DVDプレーヤーが不要になるAppleTV事業だったのでは。8月に盟友のジョブズから食事に誘われて会ったとビル・ゲイツから聞いたが、ジョブズも死期を悟っていたはず。さぞ心残りだっただろう」

 果たしてティム・クックCEO以下、アップルの社員たちは、ジョブズの見果てぬ夢を実現していけるのか。〝アップル魂〟が途切れないことを祈るのは、ジョブズ以上にユーザーかもしれない。

スティーブ・ジョブズ語録

私のビジネスの手本はビートルズだ。('86年)
米の人気テレビ番組「60minutes」で明かした経営ビジネス論の一つ。「ビートルズは、それぞれが問題を抱えた4人が一つになることで、個々人の活動を集約した以上の力を発揮した。これこそ、ビジネスのあり方だ」と語った。実際、ジョブズは優秀な人材を多方面から見つけ、そこに自分のビジネスセンスを掛け合わせることで、iPodなどのヒット商品を次々と生み出してきた。

ハングリーであれ。バカであれ。('05年)
膵臓がんから生還した直後、スタンフォード大学の卒業式に招かれてのスピーチで。「今日が人生の最後の日だとして、今日これからやることは本当にやりたいことか?もし、何日も『NO』という答えが続いた時は、何かを変えなければならない」と話した後、この言葉で締めくくった。このスピーチは、キング牧師のスピーチなどと並び、歴史に残るものと高く評価されている。

今の製品はクソだ!セックスアピールがなくなってしまっている。('96年)
'85年に内部対立によりアップルを追放された後、再び'96年にアップルに呼び戻された際のジョブズの言葉。ジョブズは顧問に就いた途端、硬直化した経営を刷新するために当時のCEOを追放し、60種類あった製品を1機種3モデルにまで絞った。そして、それまでのパソコンでは考えられないデザインを採用したiMacを発表。その斬新さが、アップル復活の狼煙となったのだ。

ThinkDifferent.('97年)
アップルに返り咲いたジョブズが、広告キャンペーンに使ったキャッチフレーズ。Macの〝マニアが使うパソコン〟というマイナスイメージを覆すため、ジョブズはこのキャッチフレーズで多くのMacユーザーを勇気づけ、アップル社員も奮い立たせた。

宇宙に衝撃を与えてやるんだ。('80年代の創業当初)
初代Macの開発チームのメンバーを焚きつける際、頻繁に使われていたフレーズ。IT技術や、製品デザインに特別詳しいわけではなかったジョブズだが、このような言葉を使って優れた人材を集め、予想以上の反応を起こす才能に長けていたと言われる。

海軍に入るなら、海賊になったほうがましだ。('81年頃)
「Macintosh」の開発を指揮する中、硬直化し始めたアップルの経営陣を批判した言葉。当時のジョブズは、すでに「AppleⅡ」を通算200万台以上売っていたが、他の経営陣からは疎まれ始め、徐々にその立場を危うくしていくのだった。

世界を変えるチャンスをものにしたくないか?('83年)
ペプシコの幹部、ジョン・スカリーを引き抜こうとした際に、ジョブズが使った口説き文句。具体的には「このまま一生、砂糖水を売り続けたいか?それとも世界を変えたいか?」と説き、最後にはスカリーを口説き落としたのは有名な話である。

「フライデー」2011年10月28日号より