ある日突然、高血圧

脳卒中 心筋梗塞 腎不全 認知症に
週刊現代 プロフィール

「得意先回りをして午後2時頃、彼女と会い、レストランで食事をしたあと、ホテルに行きました。運転しているときに、動悸が激しい気がしましたが、興奮しているせいだろうと思っていました。ところが、脱衣場で急に胸が締めつけられるような痛みに襲われ、呼吸ができなくなった。彼女が驚いて、すぐにフロントに電話して、救急車を呼んでくれました。後で医者に聞いたら、血圧が185-110で、狭心症の発作を起こしたということでした。それまでの検査で血圧が高かったことは一度もないので意外でしたね」

 実は入浴時における死亡件数は年間1万2000人以上に及ぶ。前出・桑島医師が注意を喚起する。

「風呂場での突然死には、血圧の変動が大きく関わっています。12月から3月に風呂に入ろうとして脱衣場で服を脱ぐと、部屋の寒い空気が肌に伝わり血管が縮まる。これで血圧がぐっと高くなることがあります。

 その状態で熱いお湯をかぶったり、入ったりすると、さらに血圧が高くなる。もともと高血圧の人は、これだけで上が200mmHgを超えてしまい、血管が破れて脳出血などを起こす恐れがあります」

 お風呂に続いて、トイレも〝危ない場所〟だ。

「暖かい部屋から寒いトイレに行って力んだりしたときに、血圧が高くなるケースもよくあります。ある単身赴任の中年男性もそうでした。何日も連絡がつかないので会社の同僚が心配してマンションの管理人にドアを開けてもらったら、トイレの中で倒れていたのです。脳出血を起こしていました」(前出・林医師)

 数多くの高血圧患者を診療している細川内科クリニック(東京・港区)院長・細川和広医師もこんなケースを挙げる。

「降圧剤を勧めていたが、飲むのを嫌がっていた会社の役員が、免許を取ろうと自動車学校に通い、仮免の試験のときに、その場で脳出血を起こした。普段から血圧が高めの人は、過度の緊張を強いられると、一挙に血圧が急上昇することがあります。また、大学教授で、長時間、テストの採点を根を詰めてやり、やっと終わってたばこを一口吸った瞬間、手が麻痺して動かなくなったという例もありました」

 ほかにも配偶者や愛犬を亡くしたときに、過度のストレスが発生し、急激に血圧が上がる場合もある。

 さらに怖いのは「隠れ高血圧」と呼ばれる、検診や診察では異常な数値が出ないケース。細川氏が続ける。

「高血圧には常に高い人と、ある一定の時間帯だけ高くなる人がいます。後者を『隠れ高血圧』などと言います。

 ある患者は病院に来て、血圧を測ると正常値なのです。ところが尿検査をしたら、尿に蛋白が出ていて、これはおかしいと思い、私が家でも血圧を測ってほしいとお願いし、測ってもらいました。そうしたら、朝だけ血圧が高い。いわゆる『早朝高血圧』だったのです。