老後の貯え「投資で大失敗」…家族に見捨てられて、気がつけば丸裸に

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週刊現代 プロフィール

 マンション投資の恐ろしさを前出・紀平氏はこう指摘する。

「まず気をつけたいのは、優遇金利が1年ほどで切れてしまうケースが多いということ。さらにマンションを売ろうとしても、買値で売れることはまずない。もともと1000万円程度の価値しかない物件を2000万円で買わされているからです。しかも家賃保証の期間も10年程度になっているケースが多く、その後は入居者がいなければ家賃収入はゼロ。元手がなくても儲かるなどという都合のいい話はない」

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[個人年金保険]

 年金代わりに使えるうえ、保険の機能もついているという謳い文句。銀行窓口で人気商品となっている個人年金保険だが、これにも注意が必要だ。

 元大手商社勤務の田部幸四郎氏(仮名、63歳)の声。

「60歳のときに退職金3000万円の半分を使って、個人年金保険を購入しました。私は定期預金にでもしておこうと思っていたのですが、銀行の窓口で『それだと金利が1%にもならないけれど、定期預金のような商品で3%くらいの金利が付くものがあります』と言うので決めました。

 ただ妻に話すと、『変額保険は色々と問題になっていた』と言われたので不安になった。妻の知り合いのファイナンシャルプランナーに相談すると、85歳まで支給されたときに合計で最低1500万円は払われるということがわかりました」

 支払い金額の最低保証はあるものの、田部氏が「85歳まで生きている保証」はどこにもない。そこでなけなしの老後資金は60代、70代のうちに使って楽しみたいと考えた妻は「解約しましょう」と提案した。しかし---。

「5%の解約手数料がかかるという。1500万円の5%といえば75万円の損が発生することがわかったんです。決して小さい額ではないので、仕方なく解約するのは中止にしました。妻は60代のうちにパーッと使いたかったとグチっています。きちんと説明を聞かずに買ってしまった私が、間違いでした」

 保険と運用を組み合わせた商品は退職世代がついつい手を出してしまう。しかし「それは間違い」と言うのは、『生命保険の「罠」』などの著書がある保険コンサルタントの後田亨氏。

「そもそも銀行が変額個人年金保険などを頑張って売っているのは、販売手数料が高いから。ほぼそれだけです。元本保証を謳っている商品も多いけれど、例えば『10年間運用した後に解約する場合は元本を保証します』という言葉は、『10年かけても1円も増えないことがある』とも読める。そんな商品には近づかないのが無難です」

 老後の資金は現役時代と違って、定期的な収入がない分、より大切に扱わなければいけない。年金問題がくすぶる中、タンス預金を資産運用に回すのは「賢明な作法」であることに違いはないが、投資には失敗がつきものということも肝に銘じておいたほうがいい。儲け話に花を咲かせる成功者がいる一方で、「虎の子」を失い、路頭に迷う人も少なくないのだ。経済評論家の荻原博子氏が言う。

「まったく運用の知識がない人が、銀行や証券会社のセールスにだまされて、よくわからないまま投資をしてしまう。それが原因で家庭も壊れてしまえば、元も子もありません。思えばリーマン・ショック前に投資をしていた人はほとんど損をした。結局、何もしなかった人が一番、幸せだったということです。何が起こるかわからない恐ろしさを理解しないまま、迂闊に手を出すのはやめたほうがいいでしょう」