老後の貯え「投資で大失敗」…家族に見捨てられて、気がつけば丸裸に

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週刊現代 プロフィール

「退職金の半分である500万円で外国の債券で運用する投資信託を買いました。銀行の営業マンに勧められたからです。最初はなにもわからないから怖いと断ったけど、勧誘があまりに熱心だし、年金だけではギリギリなので少しでも増やしたいという気持ちもあったため、つい買ってしまった。それに『先進国の格付けの高い債券で運用されているし、定期的に分配金が出るので小遣い代わりにも使える』という。銀行マンから勧められた商品だから安心感もありました。

 たしかに分配金は入っていたので喜んでいましたが、娘におカネを貸してほしいと言われ解約することにしたところ、基準価格が大きく下がっていることに気付いた。購入当初は8000円ほどあった基準価格が7000円台、6000円台とどんどん下がって、売ったら100万円近くの損になっていたんです」

 銀行の営業マンに話が違うではないか、と苦情を言うと「申し訳なかった」と謝られた。開き直られたら窓口で騒いでやろうと思っていたがこれで拍子抜けしてしまい、「あまり悪い人ではないのではないか」と思い始めたという。これでドツボにはまった。

「帰り際に『500万円に戻せる商品があるのですが、どうですか』と言われ、結局従ってしまった。次に400万円で購入したのは新興国の格付けの低い債券で運用する毎月分配型の投資信託。分配金は前のファンドより高いし、購入直後は基準価格も上がっていたが、しばらくすると大きく下落。解約すると、240万円にしかならないと言われ、塩漬けになっています。

 いまは20万円ほどの年金で妻と二人分の生活費を賄っていますが、妻は事あるごとに『楽しみにしていた海外旅行なども行けなくなった』とボヤく。家族からの信頼はすっかり失ってしまいました。資産を投資に回さず、預金しておけばそれを取り崩して楽しい老後ライフが過ごせたと思うと悔やみきれません」

 投資信託の販売時に使われる常套句が「分配金」だ。定期的に一定額が支払われるため安心する高齢者も多いが、ここにカラクリがある。ファイナンシャルプランナーの関根光氏が言う。

「分配金を運用成績からではなく、単に自分の資金を切り崩して払っているケースがあります。分配金をもらうたびに、基準価格が下がっている場合があるということに気づいて欲しい。また分配金が出るといっても、リスクの大きいものから小さいものまでさまざまなタイプの投資信託があるので注意が必要です。

 最近人気の通貨選択型の投資信託は高い分配金が魅力ですが、円高になれば為替差損が発生するうえ、投資している格付けの低い債券が返済不能になるという二つのリスクを抱えている。そしていざ投資信託を売ろうとしたときには、分配金でもらった金額よりもはるかに大きな損が発生することに気付かされるのです」

外貨預金「広告」にやられた

 素人が安易な気持ちで手を出すとヤケドする。投資は危険が一杯だ。以下、主だった投資商品についてその「失敗例」や「注意点」を見ていこう。

[先物取引]

 先物取引で大きな損失を被った定年退職後のシニア層は多い。「特に顕著なのは大手企業や公務員OB」と言うのは、さくら中央法律事務所の三島駿一郎弁護士である。