老後の貯え「投資で大失敗」…家族に見捨てられて、気がつけば丸裸に

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週刊現代 プロフィール

 銘柄についてはよくわからなかったので、営業課長に任せました。毎日のように電話がかかってきて、言われるがままに売買。投資していた銘柄は40銘柄ほどで、NTTドコモや楽天といったIT関連銘柄に、トヨタやホンダや日産などの自動車関連、味の素や日清食品などの食料品関連が中心でした。営業課長を信頼していたし、年に2回はまとまった配当金が支払われるので、すっかり得した気分になっていた。

配当金に安心して、株価下落を見落としては本末転倒

 ただ'08年にサブプライムローン問題で株価が下がっていることがニュースになった時は、さすがに大丈夫かしらと心配になりました。資金がいくらになっているのか確認すると3000万円くらいと言われ、呆然としました。たった2年で半分になってしまったのですから」

 その時点で妻の失敗に気づいていない夫は、「終の棲家」を購入する土地を探していたというから痛ましい。そこへきてリーマン・ショックが追い討ちをかけた。

「これで株の評価額は1700万円くらいになった。証券会社の営業課長は、1700万円を5000万円にするための投資だといって新たなプランを持ちかけてきましたが、もう信用できない。知人のファイナンシャルプランナーに相談すると、もう手を引いたほうがいいというので、証券会社に株をすべて売るように指示しました。

 主人には正直に話をして、泣きながら謝まった。ショックを受けたと思いますが、一緒に頑張ろう、と言ってくれたのがなによりの救いです。取引の明細書はすべて処分しました。残しておいてもおカネが戻ってくるわけではないし、株のことはいっさい忘れてしまいたかったんです」

 岡本氏は営業課長という「肩書」を信用してしまったと言うが、実はこのケースは証券会社が得意とする典型的な営業手法である。そこを見誤ると、気づいたときには丸裸にされているということ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が指摘する。

「証券会社の収益の中心は売買手数料なので、顧客が株や投資信託を売買してくれないと利益が得られない。そこで何度も売買を繰り返させる『回転売買』を勧めるのです。だから損をした時でも『取り戻すためにはその株を売ってこの株を買ったほうがいい』と言ってくる。

 中にはこうした営業マンを見て、『熱心だ』『ありがたい』などとほだされて取引をする人が多いのですが、油断は禁物。営業マンを助けているつもりでも、自分のおカネがなくなれば今度は自分が助けてもらわなければならなくなる。そのときになって営業マンに泣きついても、何もしてくれません」

分配金のカラクリ

 回転売買は最近人気の投資信託でも使われる手法だ。さらに投資信託の場合、ほかにも営業文句に「ワナ」がひそんでいる。

 元大手メーカー社員の池垣竜氏(仮名、67歳)はその穴に落ち、投資信託で大損害を被った。