やがて寂しき東大卒 なぜ彼らは「残念な人」で終わるのか?

新・職場の考現学
週刊現代 プロフィール

学歴エリートが、サラリーマンの世界でエリートになれない理由を、自身も東大法学部卒である人事コンサルタントの城繁幸氏が語る。

「もともと東大をはじめとする旧帝大は官僚養成機関で、組織の忠実な歯車を育てることを目的に設立されたものです。そういう人を選抜するのが東大入試なのですから、東大卒が官僚向きなのは当然なんです。なので、たとえば東大卒に経営能力やリーダーシップを期待するのは、的外れだと言えます」

実際のところ、組織の歯車として優秀な若手、と評価されていたのに、出世して部下を持つようになった途端に苦労するケースは多い。

 

東大卒の行員を数多く抱えるメガバンクで働く黒川涼子氏(仮名)はこのように語る。

「東大卒の上司には、典型的な“小役人”タイプが多いと感じます。リスクを取らないため、都合が悪そうなことがあると部下を前面に出し、自身は絶対に前面に出ない。失敗は部下の責任にして、うまくいったときは自分の手柄にするんです。

部下には好かれないけれど、上からは評価されている人もいます。だけど、飛び抜けた実績はなく、役員にはなれない、というパターンです。東大卒の人も40すぎればタダの人です」

趣味は「格付け」です

大手電機メーカー社員の小倉徳馬氏(仮名)も、東大卒の人材をこのように見ている。

「僕の会社のなかの東大卒で多いな、と思うタイプは自分で決断しない、またはできない人。常に自分より上の役職の人に相談し、決定権も責任も押しつけてしまう。要領のよさをみると、うまいな、頭いいんだな、とは思いますよ。でもそういう人って結局信用されないですよね」

こういうタイプは、若いころなら、上司の顔を立てている、東大なのに謙虚なやつじゃないか、と評価されることもあったかもしれない。

常に自分の順位を気にしながら生きてきた東大生は、組織内の「序列」には過剰なまでに敏感だ。前出の山崎元氏は語る。

「東大生は、他人よりも有利なポジションにいて、恵まれたコースを歩みたいという気持ちが強いから、序列を気にするんです。

私が大学1年生のとき、同じクラスのなかにはクラスメイト全員の過去の模擬試験の結果を調べて、誰が優秀だったかを分析していた人もいました。経済学部では、いかに人気の高いゼミに入っているか、ということで序列があり、卒業後もずっとおたがいを格付けしているんですよ」

森山雅治氏(仮名)は、在京大手テレビ局のディレクターだ。森山氏が、東大卒の40代の先輩ディレクターが放った暴言に冷や汗をかいた思い出を語る。

「あるとき歌番組の打ち上げで、そのディレクターがこう言ったんですよ。『いやあ、演歌歌手なんて中卒もいるのに、そんなヤツらにおべっか使っているんだから、おれも偉いよなあ』って。

さすがに出演者はおらず、スタッフだけの打ち上げでしたけど、テレビの現場スタッフには高卒の人もたくさんいるのに、そういうことを平気で言ってしまう。