今、ウェブ上には「共感をお金に変える仕組み」が急速に整い始めています。大量の個人から資金提供を募ることができるオンラインツールを用いて、13,500人から94万ドルを集めたという事例が、米国では既に生まれています(参考記事) 。2011年1月には日本にも同様の仕組みが登場し、ウェブ業界からの熱い注目を集めています(参考記事) 。
今回の記事では、「共感をお金に変える仕組み」の一種といえる、3月にリリースを控えている「Grow!」という最新のツールをご紹介いたします。
「ソーシャル・パトロン・プラットフォーム」を名乗る「Grow!」は、サイト上に独自の「Grow!ボタン」を設置することで、オンライン上で対価を得ることを可能にするクリエイター向けのツールです。
Grow!の仕組みは、ユーザーによるポイントの購入から始まります。クリエイターによってサイト上に設置された「Grow!ボタン」がユーザーによってクリックされると、換金可能なポイントがクリエイターに送られます。気に入ったブログ記事などがあれば、Grow!ボタンを通して簡単にライターにお金を支払うことができます。
オンライン上のコンテンツは基本的に無料であり、多くのクリエイターも、そのことを当然のものとして捉えています。私もブログを書いていますが、そこから収入を得ようとは考えていません。
サイトから収益を得る手段は、広告やアフィリエイトといった「間接的」なものが一般的です。ただし、広告やアフィリエイトから収益を得るためにはサイトに大量のトラフィックが必要であり、多くのクリエイターは高い収益を期待することはできません。どれだけ素晴らしいコンテンツを提供してもサイトへのトラフィックがなければお金には結びつかないという意味で、「ユーザーにとってのコンテンツの価値」と、「クリエイターの収益」は必ずしも一致しません。
優れたコンテンツに対しては、それが無料で提供されていようとも、何がしかの対価を提供したくなるものです。かつてロックバンドのRadioheadは「買い手が価格を決められる」形で楽曲を配布しましたが、無料でダウンロードできるのにも関わらず、約4割ものユーザーは対価を支払いました。購入者の支払った対価は全世界平均で6ドルに上ったというから驚きです(無料ユーザーも含めると2.26ドル)。
「Grow!」はこれまで提供されてこなかった「クリエイターに対するオンライン上での簡易な支払い」を実現します。ユーザーとクリエイターの間の「直接的」な支払い手段が提供されることで、コンテンツの持つ価値とクリエイターの収益は、今よりも一致するようになっていくはずです。「Grow!」の仕組みが広がれば、自らの作品で生計を立てていくことや、ブログなどを収益化していくことは今よりも容易になっていくでしょう。
リリース後、皆さんがブログなどを持っているなら、ぜひGrow!ボタンを設置してみてください。また、対価を支払っても良いと思えるコンテンツには、ぜひボタンをクリックしてみてください。これからの時代を創る、「共感をお金に変える仕組み」を体感することができるはずです。ソーシャル・パトロン・プラットフォーム「Grow!」、3月のリリースに期待が高まります。
現代ビジネスブック 第1弾
田原 総一朗
『Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった』
(講談社刊、税込み1,575円)
発売中
amazonはこちらをご覧ください。
楽天ブックスはこちらをご覧ください。