一転し、東京の政治エリートと歩調を合わせ始めた朝日新聞の「沖縄報道」

日米首脳会談報道を読み解く
佐藤 優 プロフィール

 ちなみに時事通信は、首脳会談の現場に居合わせたかのような臨場感あふれる報道を行っている。

〈 21日行われた野田佳彦首相とオバマ大統領による初の日米首脳会談。懸案の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、米側の厳しい姿勢が鮮明になった。大統領選を来年11月に控え、米国の対日圧力がさらに強まるとみられるが、日米合意に反発する沖縄の理解が得られるめどは立っていない。外交初舞台の首相は、出だしから重い課題を突き付けられた。

 「結果を出す時期が近づいている」。大統領は首相との会談で、時間を惜しむかのように本題に切り込んだ。首相同行筋によると、クリントン米国務長官ら同席者が自己紹介をする間もなく、大統領は強い口調で普天間問題を進展させるよう首相に詰め寄ったという。

 首相は就任以来、日米同盟を日本外交の基軸と明言してきた。外務省内には「米国は野田政権に好意的だ」(幹部)として、米側が過度な要求をしてこないと見る向きもあった。想定とは異なる米側の対応について日本政府は「初の首脳会談にしては極めて厳しい」(政府筋)と深刻に受け止めている。

 大統領が「結果」を求めた背景には、米議会が普天間問題のこう着にいら立ちを強め、移設とセットである在沖縄海兵隊グアム移転費用の削減を要求していることも関係がある。 〉(9月22日時事通信)

 しかし、朝日新聞は、読売新聞、毎日新聞、時事通信と注意深く読むと異なった報道をしている。

〈 野田佳彦首相は21日午後(日本時間22日未明)、米ニューヨークの国連本部でオバマ米大統領と初会談し、日米同盟を深化させていくことで一致した。大統領は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について、具体的な結果を出すよう野田首相に要求。首相は同県名護市辺野古に代替施設を建設する日米合意の早期の履行を迫られた。

 会談時間は約35分間。首相は会談で、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故をめぐる米国の支援に謝意を表明。「日米同盟が日本外交の基軸との信念は、震災をめぐる米国の多大な協力で揺るぎのない信念となった」と伝えた。大統領は「同盟関係を21世紀に適したものとして近代化していきたい」と語った。

 普天間問題について、首相は「引き続き日米合意に従って協力を進めたい。沖縄の人々の理解を得るように全力を尽くしたい」と強調。大統領は「これからの進展に期待をしている」と語った。会談に同席したキャンベル米国務次官補は終了後、記者団に「両国は結果を求める時期が近づいている、と理解している。その点は大統領が非常に明確にした」と説明した。 〉(9月22日asahi.com)

 事実関係として、オバマ大統領が述べたのは、「これからの進展に期待をしている」という発言だけで、「両国は結果を求める時期が近づいている、と理解している。その点は大統領が非常に明確にした」という発言については、キャンベル国務次官補によるものであると2つの発言を区別している。野田首相の認識とキャンベル国務次官補の発言に、齟齬があり、それが将来問題になりうることを朝日新聞の記者は認識している。そうでなくては、このような「書き分けを」する合理的理由がない。