大研究シリーズ 他人に聞けない遺伝の秘密

[前半]
週刊現代 プロフィール

「私が今日あるのは、遺伝のおかげだけではありません。多少の素質はあったのかもしれませんが、私は努力できることこそが真の才能だと思います。私の場合は努力することが苦にならず、苦労を楽しむことができた。だからこそ、学問の世界でこれまでやってこられたんだと思うんです」

 いくら親から才能を受け継いでも、開花させることなく、平凡な一生を送る人は少なくない。その才能を磨き続けた人のみが、「天才」と呼ばれる資格を持つのである。

3.「勉強しなくてもデキる子」「勉強してもデキない子」
  開成・灘の親子を調査して分かったこと

「僕は親族に高学歴の者がいないので、勉強に関しては遺伝というより環境の問題だと思っていました。

 でも家庭教師のアルバイトで地元の公立中学に通う生徒を教えたときに、持って生まれたものの大きさを実感してしまいました。

 僕は開成では落ちこぼれで、成績はほとんど底辺の方だったんですが、その子を教えて、こんなにデキない子がいるのか、と愕然としてしまいました。それ以来家庭教師はやっていません」(東京大学文学部に通う開成高校OB)

 勉強は積み重ね。努力したものが受験を制する—。そんな話は所詮きれいごとに過ぎない、と思ったことはないか。生まれた時点ですでに、「デキる子」と「デキない子」は明確に分かれている、と考えたことはないだろうか。

 開成と灘。日本中の「デキる子」が集まる、東西を代表する名門中高一貫校だ。'10年度実績では、この2校だけで、東大合格者259名を数える。果たしてその生徒は、やはり生まれたときから持っているものが違うのだろうか。

双子で開成1位2位を独占

 よりその思いを強くしてしまうような話を、現在国家公務員の、東京大学法学部卒の20代開成OBが語ってくれた。彼の双子の兄は、日本一の偏差値を誇る筑波大附属駒場高校('10年度実績で、東大合格者数100名)に通っていたという。

「小学校から兄とは得意科目が同じでした。成績もだいたい同じだったので、特別意識していたつもりはないんですが、ちょっとしたライバル関係にはなりましたね。社会と算数が得意だったんですが、あとで聞いたらそれぞれ父と母の得意科目だったそうです。

 両親は2人とも早稲田大卒です。親戚で言えば、母方の叔父は東大卒で、父方の叔父は、開成から東大へ行ったと聞いています。

 だからかもしれませんが、僕は、親戚に会っても、開成や東大だからといって特にチヤホヤされた記憶がありません。東大の友達はみんな、実家に帰ったら英雄扱いだ、と言っているので、ちょっと羨ましいときもあります。

 遺伝といえば同じ学年に、2人揃って開成という、有名な一卵性双生児がいました。中学1年の時からずっと、学年の成績1位と2位になっていて、終業式にはいつも2人で表彰を受けていました。顔がそっくりで部活も同じで区別できなかったので、2位をとることの多かった兄の方は一部で・デキない方・なんて呼ばれていて、なんだかなあ、と思っていました」

 この他多くの開成の現役生とOBに取材をしたが、兄弟で開成なんてたくさんいる、という話は全員から聞こえてきた。

 こうした親子鷹ならぬ兄弟鷹が多いというのは西の雄・灘高でも、同様のようだ。兄と揃って灘高から東大に行った30代サラリーマンはこう言う。