経済論戦勝ったのはどっちだ!森永卓郎vs.池田信夫 激突120分

日本経済は破綻する?
週刊現代 プロフィール

---日本人は、全体で約1400兆円も金融資産を持っている。国債はその日本人のカネで買われているのだから破綻はしない……?

池田 その「日本人が国債を持っていれば大丈夫」という話に根拠がまったくない。仮に日本人は死ぬまで国債を持っているとしても、国債を買える余力はあと3年ぐらいで尽きる。日本人の個人金融資産と国債残高が実質的に並んでしまうからです。そうしたら、結局は外資に買ってもらうしかなくなる。

森永 だから、そうなる前にデフレを止めないと……。

池田 残念ながら、1000兆円近い日本の政府債務は、1~2%ぐらいのインフレで解決する規模じゃない。繰り返しますが、根本的な解決は、成長率を上げることしかない。もはや日銀の金融政策でどうこうできるような状態じゃないんですよ、いまの日本は。

どうすればいいと言うわけ?

森永 その「成長率を上げる」ために金融緩和、つまり資金供給を増やそうと言っているのですけど。

 資金供給を増やすと予想インフレ率(将来的に予想される物価の上昇率)が上がり、その分、実質金利が下がるため、企業はおカネを借りやすくなって設備投資を増やし、経済が活発化します。同時に円安になりますから、日本企業の競争力が回復して、輸出も増えることになります。

池田 金融緩和は短期の景気対策で、日本経済の実力(潜在成長率)を上げることはできない。いま日本の潜在成長率は0・5%。これは日本経済がいくら頑張っても、これ以上は成長できないということ。いくら資金供給を増やしても0・5%しか成長できなくて、何がうれしいのか。

森永 ならば、いま仮に通貨供給量を50兆円増やしたとすると、日本経済に何が起こるとお考えですか。

池田 何も起きないでしょうね。多少の心理的効果はあるかもしれないけれど。それより先ほど言った中国バブルの後押しになるほうがずっと怖い。

森永 じゃあ、潜在成長率を上げるにはどうすればいいと言うんですか。

池田 日本がこうなった一番の要因は、'90年代の不良債権処理の誤りです。銀行もさることながら、問題はその融資先企業にある。

 本当はもう破綻しているのに、ゼロ金利政策によってダメな企業を延命させてしまった。こういう〝ゾンビ企業〟が、ずっと日本経済の足を引っ張ってきた。

森永 でも、ゾンビ企業を一掃すると、大量の失業者が出て、かえって景気回復の足を引っ張ることになるのでは。デフレが止まっても立ち直れないレベルの企業はともかく、そうでない企業まで潰せというのは、やりすぎではないですか。