『招かれざる大臣 ~政と官の新ルール~』 著者:長妻 昭

 1年間、正確に言えば367日間の大臣生活で何ができて何ができなかったのか。できなかった理由はどこにあり、どうすればいいのか。

 本書では、それをつぶさに記そうと思う。これからも続く民主党政権の改革において、あるいは「政」と「官」のより良き関係を考察するにあたって、国家権力の「奥の院」に入った私の経験談はそれなりに参考になると思うからだ。

 政と官の新ルール---。本書のサブタイトルだ。

 これまではどんな政と官の関係だったのか。

 言うまでもなく日本は議院内閣制の国だ。国民から選ばれた国会議員が、国会議員の中から、行政を指導・監督して日本を任せるのに最も相応しい人物を、総理大臣として選び、行政のトップに送り込む。

 総理大臣1人では荷が重いので、過半数は国会議員という条件付きで、17人を上限とする閣僚を任命し、内閣というチームを結成する。

 この体制で、各省庁の官僚をコントロールして、民意を行政に反映していく。ところが、長年の自民党政権の下では、大臣は、役所を指導・監督するどころか、逆に役所に指導・監督され、官僚の代弁者となってしまった。

 まさに、ミイラ取りがミイラになってしまったのだ。

 これでは、何のために大臣がいるのか分からない。行政に民意は伝わらない。

 この結果、世間の感覚とズレた行政が、国民の反発を呼んで、政権交代の大きなうねりになったのだ。

『招かれざる大臣   政と官の新ルール』
著者:長妻 昭
朝日新書
定価735円(税込)
⇒本を購入する(AMAZON)

 民意とのズレを変えるための政治主導を民主党は訴えた。政治主導とは、官僚を排除することではない。ましてや官僚とケンカをすることでもない。これまで、長年にわたって培われてきた慣習やルールに乗っかって政治家である首相や大臣らが動いていたものをいったん、見直し、改めて政治家が作ったルールや仕事の進め方で、官僚に動いてもらう、こういうことだ。

 民意に沿った「生活者の立場に立つ信用できる政府」を創るためだ。

 これは、大臣をはじめとする各省の政務三役で取り組むことができることもあるが、内閣全体として、統治の仕組みを法案化も含めて根本から変えなければならない課題も多い。

 それを本書では書いたつもりだ。

 政治家と官僚は、その地位の源泉が異なる。

 政治家は選挙で選ばれる。