合併号特別企画 大研究シリーズ
ひと目で分かる「いい医者」「ダメな医者」

「肩書」なんて、当てになりません
週刊現代 プロフィール

 心療内科に臨床心理士がいるか。これも一つのポイントとなる。川原医師曰く、「臨床心理士を置くことで病院の負担が増えることは事実。ですが、初めて病院に来る患者さんに心を開いてもらって症状を聞きだすためには非常に効果的です。患者さんへのサービスという面もあるんです」という。

 医者の言葉からわかることもある。「しばらく様子をみましょう」---この言葉、冒頭のAさんも初診の際に医者から言われたが、この真意を聞いて、驚くなかれ、「これは医者が診断のつかないときに言うセリフで、『もっと悪くなって症状がはっきり出るまで待ちましょう』という意味」(前出・米山医師)だというのだ。

 誤解のないように補足をすれば、心療内科など診療科や、その人の病状によって、本当に経過観察をしたほうが良いケースもある。だが、どんな場合にもこの言葉を連発する医者がいたら、用心したほうがいいかもしれない。

 また、実際に診断はついているのに、患者のことを思って悪いことは言わない、というスタンスの医師も、良い医者とは言えない。前出の南淵医師は、心臓病の場合、「患者にとって耳障りなこともハッキリ言ってくれる医者」が信頼できると主張する。

「優しい医師は、手術をすべき状況であっても患者が嫌がると『ではもう少し様子をみてみましょうか』などと言って気を使って、強く勧めないこともある。でもそれでは、手術すれば完治できる時期を逸して手遅れになってしまいます。患者に迎合するのではなく『ちゃんと検査をしたほうがいい』『いま手術をするべきだ』と強く言ってくれる医者がホンモノです」

 医者の器量は、治療法を説明する際にも現われる。とくに、治療法が多様化している前立腺がんのときに、それは顕著だ。東京厚生年金病院泌尿器科の赤倉功一郎部長が説明する。

「前立腺がんの治療は、多種多様で、そのすべてをやっている病院は少ないのが実情。ですから、自分の病院でできる治療法のほか、別の病院でしか受けられない治療法についても、中立な立場でメリットとデメリットをきちんと教えてくれる医者は信用できるかどうかの基準になると思います」

 実際、前立腺がんは、手術、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法、先進医療の重粒子線治療、患部近くに放射線源を埋め込む小線源治療などさまざまな治療法が存在する。

 会社員なら通院で治療できる放射線療法にするのか、先進医療をカバーする保険に入っているなら、身体に負担の少ない重粒子線治療にするのか、など、患者の状況に合わせて治療法の相談に乗ってくれるのは、信頼できる医者だろう。

 ちなみに、前立腺を診察する場合、きちんと触診をしてくれるかという点も重要だ。南大沢パオレ腎クリニックの泌尿器科医・平岡保紀医師は「近年は、血液検査でPSAの値を調べれば前立腺の病気をある程度チェックできますが、直腸診をするのが基本です。でも、患者さんに下着を脱いでもらい手袋をはめて肛門に指を入れるのは、時間もかかるし汚れるからと、初診以降は避けたくなる。それで進行がんを見落とした医者もいます」という。