合併号特別企画 大研究シリーズ
ひと目で分かる「いい医者」「ダメな医者」

「肩書」なんて、当てになりません
週刊現代 プロフィール

 では、こうした患者と正面から向き合う医者の診療スタイルとは、どういうものか。前出の内山医師は、初診の際、「100秒ルール」なるものを設けている。

「まず最初に、患者さんに自分の病状について100秒間話してもらうんです。すると、それである程度満足されるんですね。それがだいたい100秒なのです。

 ところが、ふつう医者はこの100秒がなかなか辛抱できない。『ハイ、わかりました、それは風邪ですから、お薬を出しておきましょう』などと途中で話をさえぎってしまう。そうせずに、とにかく100秒辛抱して患者さんの話を聞く。じつはそれだけで患者さんの安心感、満足度が違ってくるんです」

 逆にいえば、患者の話をろくに聞かず、すぐに口出しをしてくるのはダメな医者といってもよさそうだ。

 内山医師はさらに、診察を終えたあとにも患者を安心させるフォローを忘れない。最後に、「何か心配なことはありますか」と患者に尋ねるのだ。

「そのとき、『もう大丈夫です』と席を立つ人もいますが、『じつは・・・・・・』と話し始める人も結構います。そういう人は、診断がついても、まだどこか納得していない表情をしているもの。医者はそこに気づくかどうかだと思いますね」(内山医師)

 一方、辛医師が実践しているのは、個々の患者に合わせたオーダーメイド診療である。

「糖尿病は、ただ薬を出せば改善するという病気ではなく、その人の職業や生活環境によっても薬の選び方や指導法が違ってきます。たとえばタクシーの運転手をしていれば食事の時間が不規則で、それも夜中にサンドイッチやおにぎりを食べて済ます人が多い。そういう人に、過血糖を防ぐαグルコシダーゼ阻害薬という薬を与えると、血糖値は下がるけれども、副作用としてお腹が張るんですね。

 客商売なのにおならが出ちゃうとまずいので、こういう場合はまた別の薬を出すんですが、患者の職業がわかっていれば、こうした対処ができるわけです」

 とくに糖尿病は、一生付き合っていかねばならない病気なので、こうした気遣いが治療を継続させ、悪化させて合併症を引き起こさないための秘訣ともいえる。治療の際、自分の職業や生活パターンまできちんと耳を傾けてくれるか。そこも名医かどうかの分かれ目だろう。

 診療科によっても見分け方の基準は異なってくる。身体と心の調子を診る心療内科の場合、初診に時間をかけるかがとくに重要となってくる。心療内科を専門とするのぞみクリニックの川原健資院長はこういう。

「様子をみましょう」の真意

「うちの初診では、まず臨床心理士による予診が約30分あり、そのあと私が診ますが、計40分から1時間くらいですね。初診時間が長ければいいとは限りませんが、的確な診断のためには、ある程度の時間を割くことは必要だと思います」