「日本人はバカになった」は本当か

世界が嗤っている
週刊現代 プロフィール

 '09年に日中韓米の4ヵ国で行われた合同調査の結果によると、日本の中高生が学校や自宅、塾で一日に勉強する時間は、平均8時間。中国の14時間と比べると、約4割も少ないのである(ちなみに韓国は10時間)。それでも学校の勉強を「きつい」と感じている高校生は77%で、4ヵ国で最も高かったのだから、言葉が出ない。

「ザ・エンド」って!?

 高校生の学力低下に合わせてか、大学の入試問題も幾分か易しくなっていると指摘するのは、『名ばかり大学生』の著者で、教育評論家の河本敏浩氏だ。河本氏は今年の1月に実施された大学入試センター試験の国語の問題を例に挙げて説明する。


「現代文の問題が、中沢けい氏の『楽隊のうさぎ』から出題されましたが、これは私立中学入試の最頻出作品なんです。しかも星野学園中学、カリタス中学など、難関とはいえない普通の私立中学で出題されます。作品自体は極めて素晴らしいと思いますが、内容は小学校の教科書に掲載されてもいいような文章で、いよいよセンター試験でも、小学生レベルの文章の出題を辞さない姿勢をとるようになったか、という気分ですね」

 河本氏は、さすがにセンター試験のほうがやや高度な語彙力を求めているというが、設問を見比べたとき、選択肢で答えるセンター試験と、記述で答える私立中学入試のレベルは「甲乙つけがたい」という。

「高校生全体の学力が低下していることも指摘できますが、問題はそれだけではない。中学入試を受ける子どもと、中学受験をせずに学んできた子どもの間に、圧倒的な『学力格差』があることが見て取れるのです」(河本氏)

 今年のセンター試験の国語の問題(上)。私立中学でも出題されており、設問も中学入試のほうが難しい? (下・河本敏浩氏作成)

 大手予備校・東進ハイスクールの古文の人気講師で、吉野塾塾長の吉野敬介氏も、こう指摘する。

「長年古文の入試問題を見てきましたが、確かに昔と比べると問題に解きごたえがなくなったかもしれません。少し前までは、早稲田大学の入試問題でも、『これは受験生には解けないだろうな』と講師を唸らせるような問題があったのですが、最近は古文でも、一定の解き方や公式を覚えていれば解けてしまう問題が増えました。出題される文章自体も、古文というより、現代文に近い問題が出題される傾向が強くなっています」

 たとえば「単語を並び替えて正しい文章にせよ」といった問題でも、以前は並び替える単語の数が5個か6個はあったのに、いまでは3個か4個だけと選択肢そのものが減っている、そんな傾向も目立つという。しかし、吉野氏が気がかりなのは、問題そのものよりも、生徒の学習意欲の変化だという。

「解き方がわからなければ、自分で考えるのではなく、すぐに答えを見ようとする学生も増えていますね。私は学生によく『いま頑張れなかったら一生頑張れないんだよ』と励ますんですが、この言葉が心に響くのも数日だけという学生が多い。おそらく彼らは、小中学校時代になにかを一所懸命頑張るということをあまり経験しなかったのではないでしょうか」

 そんな生徒たちでも、わりと簡単に大学に入れてしまうというのだから複雑だ。そもそも大学の数が増え、子どもの数が減っているうえに、大学入試そのもののレベルが下がっているのであれば、大学生の質が落ちてしまうのも当然といえよう。