地元では「幽霊屋敷」とも S・ジョブズが建てる新豪邸

カリフォルニア発 2万4000m2の敷地に建つ歴史的建造物を
壊すことで訴訟沙汰にも

1925年に作られただけに、その老朽化は歴然。この門柱の傾き具合を見れば、幽霊屋敷と呼ばれるのも当然

 ジョブズ氏が、建て替えのための取り壊し許可の申請を出したのは10年前の'01年だった。ウッドサイド町議会は、いったん取り壊しを許可したが、04年には歴史的建造物保存を目指すNPOが町議会とジョブズ氏を訴え、許可が取り消されてしまう。が、ジョブズ氏の控訴もあって、'09年にはウッドサイド町議会が取り壊しを許可。

 昨年7月にNPO側が引き下がり、ようやく結着がついたのだ。

「正式な取り壊し許可証は、2月4日には発行されます。NPOは歴史的建造物の移設を要望していたが、ジョブズ氏は移転先を見つけられず、最終的にすべて壊すことにしました」(ウッドサイド町長のスーザン・ジョージ氏)

 ジョブズ氏にとっては、長年の悲願実現にようやくこぎつけたわけだが、計画されている新居は億万長者らしからぬ質素さだという。

「設計図を見ると、広さは560m2で、取り壊し予定のジャックリング邸の3分の1ほど。ベッドルームも5つしかありません。総工費は845万ドル(約7億円)だが、モダンでシンプル。彼が信奉している禅スタイルとも言われている。3台の車が入るガレージや、果実食主義の彼だけに、ベジタブルガーデンもあるそうです。いずれにしろ、全体としてはムダがなく、使い勝手を重視した家です。面白いのは、MS社のビル・ゲイツ会長の邸宅を建てた同じ建築事務所が設計していることでしょうか」(前出・アップル関係者)

 ジョブズ氏が若い頃にインドを放浪し、僧とともに修行して丸刈りで帰国したり、日本の禅に傾倒しているのは有名な話だ。それにしても、アメリカのセレブの基準から言えば豪邸とはほど遠い。現地ジャーナリストが言う。

「近くにオラクル社CEOのラリー・エリソン氏の自宅があるのですが、そちらは純和風造りの豪邸で、総建設費7000万ドル(約57億円)。ジョブズ邸の8倍以上の費用をかけている。エリソン邸を貴族の屋敷とすると、ジョブズ氏の家は、実用一本槍の武士の家といったところでしょうか」

著名な建築家の手による建造物は、スペインのコロニアル風を再現したもの。部屋数も30近くある豪華さだ

 いよいよ新豪邸を建築、というタイミングで療養生活に入ってしまったジョブズ氏だが、その後の病状はどうなのか。1月17日に本人が全社員宛にメールで公表した内容は、

「ホルモンバランスが崩れ、健康体の維持に必要なタンパク質が失われる病気を患(わずら)っている」

 というもの。今回は、療養期間を明言していないため、病名について様々な憶測を呼んでいる。ジョブズ氏は'04年に膵臓がんの摘出手術を受け1ヵ月間療養。

 '09年には肝臓の移植手術を受け、この時は半年間入院した。ロサンゼルス在住のジャーナリストが言う。

「今回は、'04年に発症した膵臓がんが再発している可能性があるとも言われています。この病気では、ホルモンのバランスを崩し、カロリーが適切に燃焼できなくなる。ジョブズの健康状態を知っている人によれば、最近、彼は体重が減る一方だという。もし腫瘍が再発していたら、進行がんの患者を延命できるような治療を受けているかもしれません」

 新居の工期は22ヵ月を予定している。計画どおり進めば、完成は来年の冬になる。病状が気になるところだが、今回の新豪邸のいきさつを見るに、次々に常識を"ブチ壊してきた"ジョブズ氏らしい話ではある。

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