2011.09.30(Fri) フライデー

福島の農業セシウム汚染「放射能と共存するしかない」

筆者プロフィール&コラム概要

「基準値より大幅に低くても、1ベクレルでも検出されれば、もう無理です。消費者は検出ゼロを求める。先日、郡山で『がんばろう福島』というキャンペーンがあって、スーパーに野菜が並んでいたんですが、よく見ると他県産のものばかりだった。情けなかったよ」

 稲作については、出荷品へのモニタリング(検体検査)に終始する畜産と違い、県からの生産指導があるという。農家・藤田幸浩志さんに田を案内してもらった。

「ウチの農地は刈り入れ前に検査しましたが、セシウムはND(不検出)でした。だから米もNDだと思います。放射線対策としては、セシウムの吸収を抑えるというカリウム資材を増やしています。これは県からアドバイスされましたが、原発事故以降、それ以外にもいろいろ勉強しました。ゼオライトも使っています」

 畜産、稲作とも各農家は、もはや政府をあてにせずに、独自に勉強して、「放射能との共存」に向けて、試行錯誤しているようである。冒頭に紹介した、汚染の数値を示して果物を売る取り組みもその一つと言える。東京大学医学部附属病院准教授・中川恵一氏が言う。

「放射性物質をゼロにするのは難しい。できるだけ下げる努力は必要ですが、現実的には、ある程度、折り合いをつけて妥当なところまで下げるという考えが必要だと思います。無闇に放射能汚染を恐れていては、何も始まりません」

 放射能との共存。これが、今後の日本の農業、福島ブランドを守る手立ての一つであることは、間違いないだろう。

「フライデー」2011年9月30日号より

 

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

経済の死角

週刊現代、FRIDAYが特集した経済、企業に関する話題記事を厳選公開。